EV用リチウムイオン電池パックの組み立て時の検査

電池パックの組み立てと検査について紹介します。

EV用リチウムイオン電池パックの組立工程

セル電池からパック電池への組み立て

バッテリーの最小単位をセルと呼びます。セルには「円筒形」「角形」「ラミネートパウチ形」といった形状があります。このセルを直列に接続した状態をモジュール、モジュールを直列に接続した状態をパックと呼びます。 ”Cell to Pack”のような、モジュールがない形状のパックもあります。

  • 円筒形セル
  • 円筒形モジュール
  • 円筒形パック
  • 角形セル
  • 角形モジュール
  • 角形パック
  • ラミネートパウチ形セル
  • ラミネートパウチ形モジュール
  • ラミネートパウチ形パック

セル生産工場で生産されたセルは、出荷検査を経てモジュールの生産工場へと輸送されます。時間の経過や輸送時の振動などが原因で不良品が発生するおそれがあるため、受入検査を実施し、モジュールやパックへと組み立てられます。

リチウムイオン電池パックの検査

絶縁抵抗検査

リチウムイオン電池の電極と外装(ケース)間は、絶縁を保つ必要があります。絶縁が保てていない、つまり絶縁抵抗が不足する場合、発火事故につながるおそれがあります。

上記の測定器は、電極と外装(ケース)間の絶縁抵抗を測定します。

BT5525

耐圧試験

電池パックは、用途に応じた十分な絶縁耐力を有している必要があります。絶縁耐力が不足すると、感電などの事故につながるおそれがあります。

上記の測定器は、一定時間電圧を印加することにより、絶縁耐力を検査します。

3153

絶縁抵抗検査と耐圧試験の違い
絶縁抵抗試験は絶縁の強度を見るのではなく、試験電圧にて抵抗値を測定します。耐圧試験は絶縁耐力、絶縁破壊を起こすかどうかを確認します。

内部抵抗検査

内部抵抗が大きなバッテリーは、発熱が大きくなり、早く劣化する傾向にあります。劣化するとバッテリー容量が低下し、内部抵抗が増加します。内部抵抗は、時間の経過や輸送時の振動でも変化します。出荷時や受入時には毎回検査を行い、内部抵抗の大きなバッテリーを取り除く必要があります。

開放電圧検査

負荷に接続していないときの電池電圧を開放電圧(Open Circuit Voltage)といいます。電池の特性である自己放電によって、開放電圧値は徐々に低下します。電池の内部に不良がある場合、自己放電がより大きくなり、規定値以上に開放電圧が低下します。

上記の測定器は、電池の「内部抵抗」と「OCV」を同時に測定します。BT3564AまたはBT3564は、高電圧パック電池のOCVの測定に最適です。

DM7275とDM7276は「OCV」を測定し、測定値を7桁半まで表示するため、OCVの変化をより正確に確認できます。

BT3562A

DM7276

溶接抵抗検査

溶接が不十分な場合、部品間の電気的抵抗が大きくなります。抵抗によって、電気エネルギーが損失し、電池が発熱します。発熱は、電池寿命の低下や発火事故を起こす要因となるおそれがあります。

上記の測定器は、溶接された部品間の抵抗値を測定します。

RM3545-02, Z3003

多チャネル測定で検査時間を短縮する

測定のチャネル数を増やすことで検査時間を短縮し、リードタイムが短縮できます。

上記の装置は、BT356x、DM727xシリーズのチャンネル数を増やすことができ、また2種類の測定器を同時に制御することも可能です。

SW1002

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