製品・技術 2025.12.24

一般財団法人電力中央研究所(電中研)向けに水電解セルスタックのインピーダンス計測システム「ALDAS-E」を受注

HIOKI(日置電機株式会社:長野県上田市、代表取締役社長:岡澤尊宏)は、2025年11月に水電解セルスタックのインピーダンスを計測するシステム「ALDAS-E」を「一般財団法人電力中央研究所(電中研)」向けに受注いたしました。当社は、水素社会の実現に向けて研究開発・評価試験に関する機器提供を通じ、持続可能な社会に貢献してまいります。

 

 

ALDAS-E イメージ図

背景

近年、カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素への取り組みが世界的に加速する中、次世代のクリーンエネルギーとして「水素」が大きな注目を集めています。特に、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを用いて製造され、工程中にCO2を排出しない「グリーン水素」は、脱炭素社会の切り札とされています。この製造に不可欠な基幹技術が「水電解」*1です。
日本は水電解に関する技術力において、世界トップクラスの優位性を誇っています。その一方で、社会インフラとしての普及に欠かせない「大型水電解装置」の性能や信頼性を担保する評価技術は、未だ確立されていないのが現状です。

  • *1: 水電解 水または水蒸気を電気分解することで水素製造が可能な技術

内容

当社は、2025年11月に電解セルスタックのインピーダンスを計測するシステム「ALDAS-E」を「一般財団法人電力中央研究所(電中研)」向けに受注いたしました。
電中研では、NEDO委託事業「高温水蒸気電解評価解析プラットフォームの技術開発」のプロジェクト*2において、SOEC*3セルスタックの耐久性試験を実施しています。
「ALDAS-E」は、SOECをはじめとする電解セルおよび電解セルスタックの性能分析に貢献します。最大の特徴は、社会実装レベルの大電流条件下において、交流インピーダンス計測を可能にした点にあります。

一般財団法人 電力中央研究所 EX研究本部 エネルギー化学研究部門 上席研究員 浅野 浩一様 からのコメント

「ALDAS-E」は、実用レベルの電解セル・スタックを用いた大電流での交流インピーダンス測定を可能とする計測システムである。特徴は、既存電解評価装置の大電流測定系にビルドインでき、かつ独自の測定法による精度の高い測定が可能な点である。これにより、特別な電解用電源を別途用意することなく、比較的安価にインピーダンス測定を身近なものとしてくれる。

製品概要

ALDAS Method搭載により実動作状態の水電解セルスタックの評価が可能に
従来、ラボレベルの小型セルに対する計測手法は存在するものの、大電流条件下での測定は極めて困難とされてきました。 「ALDAS-E」は、広い電圧・電流測定範囲と優れた耐ノイズ性を兼ね備えています。これにより、実用規模で稼働する水電解装置やセルスタックの評価を可能にしました。実際の運転条件下において、詳細な特性評価や状態監視、さらにはセルの劣化診断に利用できます。

ALDAS Methodとは
HIOKIが得意とするリチウムイオン電池のAC-IR計測で培ったインピーダンス測定技術と、インバーターなどのパワーエレクトロニクス評価で培った高精度電流測定技術を応用した計測法。これにより従来困難であった水電解セルスタックや水電解装置のインピーダンス評価が可能になりました。

ALDAS-E 詳細ページ

本件に関するお問合せ先

日置電機株式会社 水素事業開発担当 長浦

記載されている情報は本文章発行日現在のものです。予告なしに本文章に記載の情報は変更になる場合があります。本文章で使用している会社名および製品名は、各社の登録商標もしくは商標です。

お知らせ