研究開発
未来を見据えた革新的技術の創出へ
研究開発体制
研究開発を担う部門では、将来の製品に必要となる基礎技術開発と、現在市場から求められている製品設計開発をバランス良く組み合わせて、継続的に新製品を生み出しています。世界初の金属非接触電圧測定技術をはじめ、高精度電流センシング技術、高周波測定技術やレーザー光測定技術、ミクロン単位のプロービング技術など、独自の技術を開発し、それをベースにお客様の困りごとを解決する画期的な製品を世の中に提供してきました。
これからの市場動向を適切に予測し、そこで必要となる技術や製品を企画するために、技術者全員がお客様とのコミュニケーションを重視し、計測機能だけではなく安全性やデザインでも、顧客視点に立った製品の創出に努めています。
HIOKIイノベーションセンター(研究棟)では、最新鋭の実験研究設備を導入し、充実した設備環境のもと、研究開発に取り組んでいます。
デザインポリシー「COGNITIVE」
お客様の気持ちに寄り添い、感性的・時間的な豊かさを考え設計し、商品の価値を高めていくこと。これが「COGNITIVE」(コグニティブ)の考え方です。HIOKIはお客様が商品に触れる際に感じる心の動きを考えながら、商品をデザインしています。そしてお客様のために、モノ(製品)のデザインを通じてコト(お客様が解決したいこと)の創出を実現していきます。
知的財産戦略:三位一体からIPランドスケープ®へ
当社の知財戦略は、事業戦略と開発戦略が密接に連携した三位一体の活動を推進してきました。この活動をさらに深化させるため、三位一体の戦略が経営に資することを目指すIPランドスケープ®* の確立に取り組んでいます。
- *IPランドスケープ: 「IPランドスケープ」は、正林真之弁理士の登録商標です。(使用許諾 2021/4/22 )
(特許庁ホームページ 総務部企画調査課 掲載資料より)
「経営戦略又は事業戦略の立案に際し、(1)経営・事業情報に知財情報を取り込んだ分析を実施し、(2)その結果(現状の俯瞰・将来展望等)を経営者・事業責任者と共有すること(分析結果をきっかけに・・・双方のやり取りが行われること)」と定義しました。
三位一体の戦略
多種多様な製品群はカテゴリーごとに特長が異なるため、それぞれに適した特許ポートフォリオ※を作成し、事業戦略と開発戦略との連携により、タイムリーに知財戦略を見直しています。
- *ポートフォリオ:自社や市場のパテントマップ、他社のパテント調査や分析の結果などを目的に沿ってまとめた資料集
開発戦略では商品企画のための要素技術レビューにおいて発明発掘が議論され、事業戦略ではコンカレント・エンジニアリングのプロセスに特許レビューが組み込まれることにより、自立した三位一体の戦略が実践されています。
IPランドスケープ®
かつては、最先端の技術により日本が多くの産業を牽引していましたが、その勢力地図は大きく変貌しています。当社でも日本国内の基盤強化に注力してきた知財戦略の方向性を大きく転換し、保有する国内特許の戦略的な権利放棄を進め、海外の主要マーケットにおける権利取得に注力しています。
知的財産権は価格決定力の強化に直接的な影響を持つ重要な無形資産です。各国の法令等を踏まえての知財動向分析から、経営戦略と連携して、権利行使を前提に侵害・被侵害のリスク管理を強化しています。
また、社内においては知財のKPIに対する進捗状況をダッシュボード化して公開するなど、知財マインドを醸成するための情報を積極的に発信しています。
知的財産権の出願と保護活動
当社では、技術者の発明精神を育むためのインセンティブとして、職務発明報奨制度を整備し、特許出願活動を長期にわたって支援しています。
取得した知的財産権は、ブランド価値を向上させるための重要な会社の資産として、その権利の有効活用と保全に努めています。
特許・意匠・商標
工業デザインとしての安全性と使いやすさを徹底追求した製品は、日本のグッドデザイン賞やドイツのiFデザインアワードといった国際的なデザイン賞を数多く受賞しており、同様に多くの意匠権も保有しています。
波形記録装置の代名詞となっている「MEMORY HiCORDER」(メモハイ)も、当社の登録商標です。サービスや商品名の商標登録により、ブランド価値の向上にも取り組んでいます。
特許の保有状況
お客様とともに問題の解決に取り組むことにより、コア技術による計測ソリューションは「守りの特許」として競争力を強化し、新たなチャレンジは「攻めの特許」としてビジネスフィールドを拡張しています。
長期にわたり日本の先進技術と共に培われてきた計測技術は、およそ1000件の国内特許を保有するまでに至りました。その後は、グローバル市場の拡大に伴い外国における特許の権利取得に経営資源を振り分けるべく、国内特許の有効性を精査しての権利放棄を進めながら、外国出願を強化しています。
また外国出願では、各国の産業と特許制度の特徴に合わせて出願先を決定しています。
- 特許保有件数の推移
コーポレートブランドの浸透
コーポレートブランドである「HIOKI」の表記文字は、世界107*の国と地域において商標登録され、多様なHIOKIの計測器群が、さまざまな国や市場に広がっています。高品質の製品と最高のサービスを提供するため、世界各国でブランドの浸透と管理に取り組んでいます。
- *2020年現在
リスク管理
知的財産権はすべての企業にとって大切な資産であり、尊重されるべき権利です。他社の知的財産権を侵害しないことは、当社の「社員行動規範」に明記され、規定の整備や知財検索支援ツールの充実などを図り、継続的に実施されるコンプライアンス研修によって、知財のガバナンス体制が強化されています。