電流センサーの種類と動作原理
この記事では、商用周波数の50Hzおよび、60Hz系統の電力品質や電力管理の測定に用いる電流センサーを中心に解説します。電力測定や波形観測用途の高確度・広帯域な電流センサー(高性能)やゼロフラックス方式について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
電流センサーは、基本技術として、CT (Current transformer) を用いています。それぞれの用途に合わせて、巻線方式、ホール素子方式、ロゴスキーコイル方式といった各電流検知方式を駆使して、高性能な電流センサーを実現しています。それぞれの特徴を理解し、用途に合った電流センサーを選定してください。
近年、再生可能エネルギーの実用化に伴い、直流電流計測も重要となり、ホール素子方式の需要が高まっています。
- 汎用測定用に設計された電流センサーの動作原理を学びます。
- 各電流検知方法の特性を理解して、用途に最適な電流センサーを選択してください。
電流センサーの主な種類(汎用測定用)
電流センサーの主な種類(高性能測定用)
電流センサーの動作原理(汎用測定用)
1. 巻線方式(AC)の動作原理
巻線を用いた電流センサーは、交流(AC)の電流を測定する最も基本的な方式です。
- 測定導体(1次側)に流れる交流電流(I)により、測定電流による磁束(Φ)が誘導されます。この1次磁束を打ち消そうとする反応として、2次電流による磁束(Φ’)が2次巻線(N)に誘導されます(自己誘導による逆起電力)。
- この2次電流はシャント抵抗(r)を流れ、シャント抵抗の両端に電圧(Vout)を生成します。
- この出力電圧は、測定対象の導体を流れる測定電流に比例します (Vout = r/N * I )。
2. ホール素子方式(DC/AC)の動作原理
ホール素子を用いた電流センサーは、直流 (DC) および交流 (AC) を測定する最も基本的な方式です。
- 測定導体(1次側)に流れる電流によって磁気コア内に発生した磁束(Φ)が、磁気コアのギャップ部に挿入したホール素子を通過することで、ホール効果により磁束に応じたホール電圧が発生します。
- ホール効果によって発生する電圧は小さいため、アンプで増幅して出力します。
- この出力電圧は測定電流に比例します。
3. ロゴスキーコイル方式(AC)の動作原理
ロゴスキーコイル方式を用いた電流センサーは、フレキシブルな形状をしています。空芯コイル構造のため磁気飽和しにくく、直線性が保たれ、大電流の測定ができます。
- 測定導体(1次側)に流れる交流電流によって生成される磁界が、空芯コイルと鎖交することで、空芯コイルに誘起電圧が発生します。
- この誘導電圧は、測定電流の時間微分値(di / dt )として出力されます。
- さらに、積分器を通すことで測定電流に比例した出力電圧が得られます。
汎用電流センサーの特徴と用途
比較表
巻線方式 (AC) | ホール素子方式 (DC/AC) | ロゴスキーコイル方式 (AC) | |
---|---|---|---|
特徴 |
|
|
|
用途 |
|
|
|
該当製品 | ACフレキシブル電流センサCT7046, CT7045,CT7044 CT9667-01,CT9667-02, CT9667-03 (ノイズ耐性を向上) |
関連製品
HIOKIでは、パワーアナライザやパワーメーターと組み合わせて測定する電流センサーを自社で設計・生産しています。