電流プローブとは?

電流プローブとは?電気回路を遮断せずに測定できる便利な計測機器!

概要

電流や電圧、抵抗などを手軽に測定するために、デジタルマルチメーターを使用しているという方は多いのではないでしょうか。しかし、これらの計測器には明らかなデメリットがあります。デジタルマルチメーターで電流を計測するには、直列に接続できるように電気回路を遮断する必要があります。

ここで電流プローブが役立ちます。測定対象の電気回路へ電気的な接続が不要になるため、手間がかからず保守やトラブル時の故障箇所チェックにも有用です。このページでは、電流プローブについて詳しくご紹介します。

  • 電流プローブ CT6701

電流プローブとは何ですか?

電流プローブとは、デジタルマルチメーターのように計測器単独で電流を計測できるものではなく、オシロスコープと組み合わせて使用するツールです。オプションとして別途用意する機器ですが、種類によってはオシロスコープ本体と変わらない価格のものもあります。電流プローブの最大の特徴は、交流や直流の電流を、電気回路を遮断せずに非接触で測定できることです。

  • 電流プローブ CT6711とメモリハイコーダ MR6000の組み合わせ例
  • Bluetooth Low Energyデバイスのデータ送受信時の消費電流波形

実用段階では電線を切れないことが多い

一般的によく使用されるデジタルマルチメーターでは、電流を測定するために一度電気回路を遮断して、直列に接続することが必要です。しかし、回路を遮断したくない場合は、電流プローブが役に立ちます。

電子機器の製作段階など、電気回路が露出した状態で電流測定したいとき、デジタルマルチメーターは簡単に測定でき重宝するでしょう。しかし、すでに稼働している電子機器に対しての保守点検や、トラブル時の故障個所特定などでは、遮断できないケースも多々あります。

そのような場合は、電流プローブのように電線を挟み込むだけで電流が測定できるタイプの計測器が役立つでしょう。

電流プローブの仕組み

では電流プローブは、なぜ直列に接続しなくても電流を測定できるのでしょうか。
電流プローブは測定電流の周りに生じる磁界をさまざまな方式で検出しています。
これらには、交流電流専用に設計されたものや、交流電流と直流電流を両方測定できるものなどがあります。

また、その電流を電圧へと変換して、電流がどのように流れているのか測定することができます。電流プローブの測定方式は主に以下の6つあります。用途に応じて選定をしましょう。

CT方式電流センサー

比較的安価で電源を不要としませんが、交流の電流測定しかできません。

ホール素子方式電流センサー

直流から数kHzまでの周波数の交流電流に対応した方式です。ホール素子の直線性や磁気コアの影響があるため、非常に高い精度は得られません。また、ホール素子の特性により、温度や経時変化でドリフトが発生するため、長時間の測定に適さないなどのデメリットがあります。

ロゴスキーコイル方式電流センサー

磁気コアがないため、交流電流を測定する際に磁気飽和せずに電流の検出ができます。測定電流の周囲に生じる交流磁界により空芯コイルに誘起される電圧を変換します。インピーダンスが小さく磁気損失によって生じる発熱、飽和、ヒステリシスなどがありません。

ACゼロフラックス方式電流センサー

CT方式による低周波域の特性を改善した機器です。位相誤差が少なく電力測定での電流検出に適しています。また、広い周波数帯域の測定が可能です。ただし、直流の測定はできません。

AC/DCゼロフラックス方式電流センサー(ホール素子検出型)

CT方式とホール素子を組み合わせることで直流電流と交流電流の両方を測定できます。

AC/DCゼロフラックス方式電流センサー(フラックスゲート検出型)

CT方式とFG素子(フラックスゲート)を組み合わせることで直流電流と交流電流の両方を測定できます。
フラックスゲートは、広い温度範囲にわたって非常に小さなオフセットドリフトを示すため、非常に正確で安定した測定を実現できます。そのため、高精度電力計との組み合わせで使用するのに最適です。

電流プローブの使用例

電流プローブは、さまざまなシーンで活用されています。その一例をご紹介します。

自動車電装部品の電流測定

自動車に搭載される小型モーターやソレノイドバルブの制御電流測定に用いられます。数mAオーダーの電流を観察できるのが特徴です。そのほかにも、スイッチやリレーの制御電流測定、エンジンの点火タイミングの観察、電磁弁の制御電流モニター、制御切り替え時の応答確認など多岐にわたる測定に用いられます。

自動車スターターの始動電流

電子回路部品の電流特性評価

電子回路上のリレーの制御電流測定、コンデンサの電流特性の評価試験に用いられます。電子回路に搭載している機器が、設計通りに動作するかの検査をする際に、高周波数帯域でのノイズ波形を見逃しません。そのほかにも、短絡試験時の電流波形、負荷急変時などのEV用バッテリー評価、インラッシュ電流波形などの測定に用いられます。

電気機器の電源投入時の突入電流波形

高速スイッチング素子の評価

LEDやモーターなどの電子機器において、駆動させるためのスイッチング素子の評価に用いられます。高速駆動する半導体デバイスのオンとオフ、リプル波形、スイッチング損失などについて測定に用いられます。

電気機器の電源投入時の突入電流波形

電流プローブには複数の測定方式があるので、慎重に検討をしてください

電流プローブは、電気回路を切断し直列につなげる必要のあるデジタルマルチメーターとは異なり、電線を挟むだけで電流を測定できる便利なツールです。オシロスコープのオプションのため、オシロスコープ本体が必要となります。電流プローブには、複数の測定方式があるため、自分がどのような測定をしたいのか、しっかりと確認してから選ぶようにしましょう。

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