電流プローブの使い方
電流プローブの基本的な使用方法や注意事項
概要
電気は目に見えない性質のため、故障が発生したときに、その性質をすぐに判断できません。日ごろから故障が起きないように保全したり、故障が発生したときの原因を特定したりするためにも電流測定が必要になるケースがあります。電流測定は、デジタルマルチメーターやクランプメーター、電流プローブなど、さまざまなツールで測定することができます。
- デジタルマルチメーター
- クランプメーター
- 電流プローブとメモリハイコーダ
本ページでは、電流プローブの基本的な使い方や、使用時の注意点などについてわかりやすくご紹介します。
電流測定の基礎
電流測定は電子機器の測定の中でも基本的な項目の一つです。製品開発時に品質を確認するだけではなく、稼働している電子機器の状態を確認する保全作業や、電子機器が故障や不具合の際に電流が流れているかどうかを確認する作業など、さまざまなシーンで行われます。
そのため、電流測定をするためにさまざまな計測器が使われています。電流が測定できる主な機器は以下です。
- デジタルマルチメーター
- クランプメーター
- 電流プローブ(電流プローブの出力電圧をオシロスコープで観測)
デジタルマルチメーターは、電流だけでなく電圧や抵抗なども測定できます。例えば、ベンチトップタイプの大型のものから、持ち運びに便利なカードタイプのポータブルなものまで、さまざまなタイプがあります。
現場で回路を切らずに測定できる電流プローブ
電流プローブは、オシロスコープと組み合わせて使用するオプションの機能の一つです。電流プローブの最大の特徴は、回路を遮断させずに電流が測定できることです。一般的なマルチメーターでは、測定するために回路を遮断して、回路とマルチメーターを直列に接続する必要があります。
しかし、電流プローブは回路を切断しないことから、デジタルマルチメーターと比較して、回路に影響を最小限に抑えながら、より正確な電流測定ができるのです。しかし、「なぜ電線を挟むだけで測定できるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
その理由は、電流プローブは測定電流の周りに生じる磁界をさまざまな方式で検出しています。
ここでは詳しく触れませんが、交流専用のものや、交流と直流を両方測定できるものまで、さまざまな種類があります。オシロスコープに接続して電流波形を観測できる高感度モデルも用意されています。
電流プローブの使い方
電流プローブの使い方は、特に難しいものではありません。電流プローブをオシロスコープに接続して測定します。例えば、HIOKIのメモリハイコーダとの接続において、機種によってはBNCコネクタを回転する必要はありません。接続時は押し込むと自動的にロックします。取り外しはワンタッチでロックを解除するだけです。
さらに、自動ゼロ調整や、消磁をボタンの長押しで実行する機能があるので効率的です。
- 開閉レバーでセンサヘッドを開閉する
- 一つのボタンでゼロ調整と消磁を自動実行
オシロスコープで電流波形を観測するために設計された電流プローブには、AC/DCゼロフラックス方式(ホール素子検出型)電流センサなどがあります。CT方式とホール素子を組み合わせることにより、直流電流と交流電流の両方を測定できます。
このタイプの電流プローブでは、直流と交流のいずれも測定が可能なだけではなく、磁気コアのB-H磁気特性の影響を受けず直線性に優れています。また、高いS/Nで広い周波数帯域幅を実現します。さらに、励起電流ノイズがないので、測定中の全体的なノイズが非常に低くなります。
電流プローブの使用時の注意点
電流プローブには、大電流が流れる回路を対象にしたものもあれば、非常に小さい電流でも高精度で計測できるものもあります。一般的に非常に小さな電流の波形を観測する際には、ノイズに埋もれてしまうことがよくあります。そのような場合には、測定のコア部分に回路のケーブルを複数回巻き付けてみましょう。巻いた数に比例して波形を大きく表示できるため、より確実に測定できるようになります。
HIOKIでは、電流プローブのほかに電流センサーなどの製品を取り揃えています。
例えば、交流電流を測定するクランプは、波形を観測するための「クランプオンプローブ」「電流プローブ」と、レベルを観測するための「クランプオンセンサ、AC/DCカレントセンサ」に分けられます。
- 電流プローブ
- クランプオンセンサ
- AC/DCカレントセンサ
波形を観測するために設計された電流プローブは、その広い周波数帯域によって区別されます。また、プローブもセンサーも周波数帯域ごとに振幅確度と位相確度を規定しているため、適切な製品を選択できるように測定の目的と手段を明確に定めることが重要です。
電流プローブの使い方や注意点を慎重に確認し、電流測定をしましょう
電流を測定するには、デジタルマルチメーター、クランプメーター、電流プローブなどの計測器が使用されます。電流プローブは、オシロスコープと組み合わせるオプション機能の一つであり、直流や交流の測定ができます。
電流プローブは回路を遮断せずに電流を測定できるため、回路への影響を最小限に抑えながら正確な測定ができます。本記事で紹介した電流プローブの使い方や注意点を参考に、用途に合った電流プローブを選び、電流測定をしてみてはいかがでしょうか。