インピーダンスメーターとは?

インピーダンスメーターとは?インピーダンスの基本や測定のポイント

概要

交流回路の抵抗値であるインピーダンスは、目に見えるものではありません。そのため、専用の計測器であるインピーダンスメーターを用いて計測する必要があります。インピーダンスメーターを触ったことがない人は、「どのように使うのか」「使用時の注意点はあるのか」など、気になることが多いかもしれません。

そこで、このページではインピーダンスの基礎知識や、インピーダンスメーターの使い方、測定時の注意点についてわかりやすくご紹介します。

インピーダンスとは何ですか?

そもそも、インピーダンスとはどのようなものか理解できていない人もいるかもしれません。インピーダンスとは、交流の流れにくさを示す量で、記号はZ(インピーダンス)、単位はΩ(オーム)で表します。
インピーダンスの数値が大きくなるほど電気が流れにくく、低ければ電気が流れやすくなります。インピーダンスは、電気回路の分野において重要視されています。

直流 (DC) 回路におけるインピーダンスと抵抗の違いは何ですか?

インピーダンスは、抵抗のことであり、表示単位も直流抵抗と同様にΩで表記されます。それでは、直流抵抗とインピーダンスは全く同じなのかというと、必ずしもそうではありません。大きなくくりとしては同じものですが、交流のインピーダンスはより複雑です。

直流回路では、抵抗(R)が電流を妨げる働きをします。交流回路では、抵抗(R)のほかに、コイル(インダクタ:L)やコンデンサ(C)も電流を妨げる働きをします。

インピーダンスの測定にはインピーダンスメーターが必要

インピーダンスは目に見えないため、インピーダンスを知りたい場合には専用の計測器を用いて測定する必要があります。インピーダンスを測定できる機器としては、インピーダンスメーター、LCRメーター、インピーダンスアナライザーなどがあります。

  • LCRメータ
  • インピーダンスアナライザ

インピーダンスの計測方法は複数あり、それぞれにメリットやデメリットがあります。そのため、「自分がどのような測定をしたいのか」「どの範囲のどの確度の測定を行いたいのか」によっても、インピーダンスを測定できる機器の選定に影響を与えます。

以下の表は、インピーダンスの測定法をまとめたものです。この表を参考にして、インピーダンスの測定方法の概略を把握しておくようにしましょう。

測定方法メリットデメリット
ブリッジ法高確度(0.1%程度)高速化に不向き
I-V法接地された試料でも測定可能インピーダンスの大きさに応じて電圧計の影響を受ける
自動平衡ブリッジ法
  • 広い周波数をカバー(1 mHz〜100 MHz)
  • インピーダンス測定範囲が広い

※多くのLCRメーターで採用している

  • 高周波数までカバーできない

数MHzを超える周波数では、複雑なI-V変換回路が必要となる

RF I/V法

高確度(1%程度)かつ高周波数で広いインピーダンス測定レンジで測定可能。(ネットワークアナライザと比較して)

※高周波LCRメータで採用している。

測定周波数帯域がテストヘッド内のトランスによって制限されるので広帯域化が難しい

インピーダンスメーターを使った測定時の注意点

インピーダンス測定は、非常に繊細なものであり、測定値が安定しないことがよくあります。要因としては次のようなものが考えられます。

測定する部品によるばらつき

測定する部品の個体差の影響を受けるので、同じ条件であっても全く同じ測定値とならないケースがあります。

測定する部品が持つ寄生部分

測定する部品は設計通りの抵抗やリアクタンスだけではなく、さまざまな寄生要因によって測定値にばらつきが発生します。部品接続のためのリードの長さや間隔の違いでも測定値が変化してしまうのです。

使用条件によるばらつき

測定時のコンデンサやインダクタの温度、プローブ容量、高インピーダンス素子の測定においては、外部の誘導ノイズなどの影響など測定環境の変化があったりすることで測定値に影響を与えてしまいます。さらに、測定回路や測定器で発生するDCバイアスの影響も受けてしまうのです。

このようにインピーダンス測定はばらつきが出やすいため、複数回測定して平均をとるなどの対策が必要となります。

まとめ

インピーダンスメーターはさまざまな種類があり、それぞれに可能な測定方法や周波数レンジなどが異なります。自身がどのような測定を行いたいのかを明確にして、インピーダンスメーターを選択するようにしましょう。また、インピーダンス測定はさまざまな要因でばらつきが出やすいため、テストを繰り返すなどの対策が必要です。

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