インピーダンスメーターの使い方
インピーダンスメーターの基本的な使い方や測定方法
概要
インピーダンスメーターは、インピーダンス、つまり交流電流 (AC) の流れに対する抵抗を測定します。本ページでは、インピーダンスに関する基本的な知識やインピーダンスの計測方法、インピーダンスメーターの使い方について詳しくご紹介します。
インピーダンスとは何ですか?
インピーダンスとはどのようなものなのでしょうか。一言だと「交流電流の流れにくさを示す量」です。
交流電源に電気製品やモーターなどを接続することで、回路に電流が流れていきます。このときに生じる回路の電圧と電流の比がインピーダンスです。つまり、交流回路内における電流の流れを抑制するものといえるでしょう。インピーダンスの略記号は「Z」、単位は直流抵抗と同様に「Ω(オーム)」となります。インピーダンスが大きければ大きいほど、電流は流れにくくなります。
インピーダンスはどうやって測定する?
インピーダンスは、それ自身が目に見えるものではないため、計測器を用いて測定する必要があります。インピーダンスを測定できる機器としては、インピーダンスメーター、LCRメーター、インピーダンスアナライザーなどがあります。また、測定方法もいくつかの種類があります。
ブリッジ法
ブリッジ回路から、未知の抵抗を求める方法です。検流計によるバランス調整を行う必要があります。この方式は高確度(約0.1%)を実現しますが、高速測定には適していません。
I-V法
電流検出抵抗と未知のインピーダンスの両端電圧をそれぞれ測定し計算で求めます。接地された試料でも測定できます。インピーダンスの大きさに応じて電圧計の影響を受けます。
RF I-V法
基本的には、I-V法と同じ測定原理です。同軸線路の特性インピーダンスに整合した回路と高周波同軸コネクタに使用により、I-V法では難しい高周波インピーダンス測定ができます。測定周波数帯域がテストヘッドのトランスによって制限されるので、広帯域化は難しい。
自動平衡ブリッジ法
基本的にはブリッジ法と同じ原理です。1 mHz〜100 MHzまでの広い周波数帯域に対応しています。ただし、その範囲は高周波数まで対応していません。多くのLCRメーターで採用している方法です。
測定方法によってメリットやデメリットが異なるため、「自分がどのようなインピーダンス測定をしたいのか」を明確にして、インピーダンスの測定手法を選択する必要があります。
インピーダンスメーターの使い方
インピーダンスの計測方法は、機器によって異なります。例えば、HIOKIのLCRメーター IM3523Aでは広範囲な測定周波数が設定でき、高確度でインピーダンスを測定できます。
- 測定周波数40 Hzに設定
- 測定周波数200 Hzに設定
通常の測定だけではなく、異なる測定項目を、異なる測定条件(測定周波数、信号レベル)で連続かつ高速に測定させることができます。
- コンデンサのC-DとESRを同時に測定
また、測定条件を最大60個、オープン/ショート補正やケーブル長補正などの補正値を最大128個保存できます。パネルロードで条件をすぐに読み込むことができるため、作業効率を向上させることができます。
さらにハンドラ(EXT I/O)インターフェイスを活用すると、検査ラインの自動化構築の短縮化もできるでしょう。
インピーダンス測定が安定しない要因
インピーダンスメーターは、測定方法によっては、測定のたびに数値が変わってしまう場合があります。もしインピーダンスメーターの測定値が安定しない場合は、次のようなポイントを確認してみましょう。
測定する部品が持つ寄生部分
測定する部品は設計通りの抵抗やリアクタンスだけではなく、さまざまな寄生要因によって測定値にばらつきが発生します。部品接続のためのリードの長さや間隔の違いでも測定値が変化してしまうのです。
測定環境
インピーダンス測定は、抵抗だけではなくコンデンサやインダクタの温度、プローブの容量、浮遊容量など、さまざま状況によって測定結果に影響を与えます。
測定する環境を一定に保って測定をしたり、一度だけの測定で確定するのではなく、複数回測定をして平均化するなどの対策を講じることが必要です。
DCバイアス
DCバイアスとは測定器や測定回路で発生するごくわずかな電圧です。例えば、プローブの素材と配線は異なった素材です。これにより熱起電力が生じてDCバイアスが発生します。
まとめ
インピーダンスとは交流に対する抵抗値であり、測定するためには専用の計測器が必要です。測定方法はさまざまなものがあるため、メリットやデメリット、目的に合わせて最適な測定方法を選びましょう。
インピーダンス測定は、非常に繊細で周波数や測定環境、DCバイアスなどにより、ばらつきが出やすいため、測定の際には、複数回測定をして平均化するなどの対応が必要になります。