抵抗の測定方法

抵抗の測定方法を知りたい!基本的な抵抗測定方法や注意点など

電気の抵抗は、電子機器の回路において非常に重要です。抵抗が適切でないと、故障などのトラブルの原因になりかねません。しかし、電気は目に見えるものではありません。回路内の抵抗が適正値かどうかを調べるには、専用の測定器が必要です。

抵抗を測定するためにはテスターなどの計測器が必要ですが、その測定はどのようにして行うのでしょうか。ここでは、テスターやマルチメーターを使った抵抗の測定方法などについて、詳しくご紹介します。

抵抗はどのように測定するのでしょうか?

抵抗を測定するためには、アナログマルチテスターやデジタルマルチメーターなどを使用します。どちらのタイプの計測器も、抵抗だけではなく電流、電圧、その他の測定項目も測定できるため、さまざまな状況で活用できるでしょう。

しかし、抵抗は回路内の抵抗値そのものを測定しているわけではありません。抵抗の測定は、回路に印加する電流と電圧を測定して演算します。測定対象に電流を印加すると回路内にはその測定対象(抵抗)に対して電圧(電圧降下)が発生します。抵抗は、オームの法則を利用することで、電流と電圧から抵抗値を測定することが可能です。

そのため、回路内の抵抗値がわからなかったとしても、電流と電圧の測定値があれば抵抗を測定することができます。アナログマルチテスターやデジタルマルチメーターなどでは、オームの法則を利用した抵抗測定原理により、抵抗を測定しているのです。

電気抵抗を測定するための機器

アナログテスターで抵抗値を調べる方法

アナログマルチテスターを使った、抵抗の測定方法は測定対象の回路の電源を切った状態で測定します。赤のテストリードを+マークのあるプラスの入力端子に差し込み、黒のテストリードを−マークのあるCOMの入力端子に差し込みます。
レンジスイッチをΩマークが表示されているレンジに切り替え、想定されている測定対象の倍率レンジに設定しましょう。

赤と黒のテストリードの先端を短絡させて、0ΩADJつまみ(0Ω調整器)で指針を0Ωに合わせます。測定対象の両端に赤と黒のテストリードの先端を接触させて、メーターの指示値を読み取ります。

抵抗レンジの時にテストリードに電圧を加えると、テスターの故障の原因となります。また、指針が0Ωまで合わせることができない場合は、アナログマルチテスターの電池が消耗している可能性があります。その際には電池の電圧を確認しましょう。

  • アナログマルチテスターの抵抗測定回路

抵抗測定時は必ずゼロ調整を行ってください。(機械的ゼロ調整と電気的ゼロ調整)
電圧が印加されている状況は危険ですので、分離することが重要です。

デジタルマルチメーターで抵抗を測定する方法

デジタルマルチメーターを使った抵抗測定も、基本的にはアナログマルチメーターと同じでとても簡単です。表記がアナログからデジタルになるだけなので、基本的な使い方としては大きく変わりありません。ただし、デジタル式のマルチメーターにおいては、次の2つの測定法があります。

デジタルマルチメーターを使用した抵抗測定方法は、ほとんどが2端子測定法です。2端子測定法は、一定の電流を流して抵抗値を電圧計によって測定します。これは、アナログマルチテスターと同様です。しかし、2端子測定法は測定する際に、「被測定物と接続する配線を含んだ抵抗値を測定してしまう」というデメリットがあります。

  • 2端子測定法

配線を含んだ抵抗値の影響をできるだけ小さくするために、測定前にテストリード同士を短絡させて、抵抗値の0補正を行っています。
ただし、これでも完璧に取り除くことができるものではありません。それにより生まれたのが4端子測定法です。4端子測定法では、電圧計と電流計の回路が独立しており、4本のテストリードを用いて計測します。

  • 4端子測定法

抵抗の測定には、電線、リレー、コネクタ、電池の内部抵抗など、さまざまな抵抗があるため、測定対象に応じて適切な計測器を選ぶことが重要です。計測器を購入する際には、目的に合ったものを選びましょう。

  • クリップ型リード
    (4端子測定用クリップ型リード)
  • 抵抗計

抵抗測定時に誤差が出る要因

抵抗値測定結果に影響を与えるのは、テストリードの配線抵抗だけではありません。主に次のような影響も受けます。

  • 起電力
  • 熱雑音
  • 漏れ電流
  • 誘電体吸収
  • 摩擦雑音
  • 外来雑音
  • 温度、湿度、風

抵抗計には温度などの影響を低減するため、抵抗計に接続された温度センサの値から基準温度との差を読み取って、抵抗値に補正をかけてくれる温度補正機能(TC)があります。抵抗の測定値が不安定になっている場合は、何が影響を与えているのかを把握したうえで対処するようにしましょう。

Rt = Rt0 ×{1 + αt0 × (t - t0) }

Rt:実際に試験した抵抗値 [Ω]
Rt0:補償抵抗値 [Ω]
t0:基準温度 [°C]
t:現在の周囲温度 [°C]
αt0:t0における温度係数

温度補正の原理

温度補正機能(TC)を備えた抵抗計を使用することで、抵抗値を基準温度での抵抗値に換算して表示することができます。

より正確な低抵抗測定には4端子測定法の抵抗計を使用する

アナログマルチテスターやデジタルマルチメーターでは、抵抗値そのものを測定するのではなく、電流と電圧からオームの法則を利用して測定します。どちらの機器でも基本的な使い方は同じです。デジタル式では、4端子測定法などもあり、より正確な測定をすることができます。

しかし、抵抗値はさまざまな外部影響を受けるものです。測定結果が不安定な場合は、原因を特定して対処するようにしましょう。

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