周波数の測定方法
周波数の測定方法とは?周波数測定の機器と測定方法に関する注意点
概要
日常生活で「電化製品の周波数について意識していない」という方は少なくありません。しかし、電化製品によっては対応している周波数が指定されていることもあり、対応していない周波数の電気で使用すると故障や火災などのリスクも生じます。
また、産業用の機械においては、固定周波数または可変周波数で動作するように設計された電気機器があります。ここでは、電気計測における周波数の測定方法の基礎知識について、わかりやすくご紹介します。
周波数を把握することで電気機器を適切に扱おう
周波数(Hz)とは、交流の電気において、1秒間の間にプラスとマイナスが交互に入れ替わる回数のことをいいます。例えば、30Hzでは1秒間に波が30回あることを意味し、60Hzでは1秒間に波が60回あることを意味します。60Hzのほうが、波はプラスとマイナスをより早く入れ替わっているといえるでしょう。
電力系統は単一固定周波数で運用されていますが、インバーターを中心とするパワーエレクトロニクス機器の普及や系統連系電源の増加などにより系統が複雑化すると、電圧異常や周波数変動など電力品質に悪影響を与え、電気機器に損傷を与えることが懸念されています。また、電気エネルギーを効率よく活用する代表的な技術「インバーター」は、可変周波数によりモーターの回転数を制御する装置として使用されます。さまざまな状況に応じて周波数を変化させることで、モーターの回転数を制御し、効率的な運転を実現します。
周波数を測定するための機器
周波数を測定するために使用できる機器は多数あります。
デジタル周波数計
測定した周波数が数値としてデジタル画面に表示される計測器です。結果が数値として表示されているため、読み取り間違いが少ないという利点があります。また、周波数以外にも電流や電圧などが計測できる、デジタルマルチメーターは複数の測定機能を備えています。
電源品質アナライザー
電源品質アナライザーは受変電設備の障害や電子制御機器の誤動作を引き起こす原因がどこにあるのかを調査するために、周波数、電圧、電流、電力の値や波形などの測定が可能です。
パワーアナライザー
パワーアナライザーはインバーター出力で一番支配的な基本波の周波数成分に加え、キャリア周波数成分などの高調波の周波数帯域で電圧・電流・電力を高確度測定するときに使用されます。
オシロスコープ
オシロスコープは入力した信号の電圧波形を観察することができる計測器です。その波形からは周波数測定だけではなく電圧の振幅や周期を知ることができます。
多くのユーザーは、周波数だけでなく、電流と電圧を測定する必要がありますが、インバーターの周波数を測定する必要はないかもしれません。次項では、一般的な使用例としてデジタルマルチメーターを使用した周波数測定の方法を紹介します。
デジタルマルチメーターで周波数を測定する方法
デジタルマルチメーターで周波数を測定するには、周波数測定機能を備えた機器が必要です。まず、デジタルマルチメーターを周波数測定用に準備します。
ファンクションスイッチまたは、ロータリースイッチで周波数測定(Hz)を選択します。デジタルディスプレイに「Hz」と表示されたら、周波数測定機能が選択されています。
赤と黒のテストリードを周波数測定の端子に差し込めば、周波数測定の準備が完了です。多くの場合、赤いテストリードはHz表記がある端子、黒いテストリードはCOM表記がある端子となっています。電圧測定と周波数測定を同時にできる機種もあり、V表記の端子へ赤いテストリードを差し込む場合もあります。各デジタルマルチメーターの取扱説明書を見て差し込みましょう。
あとは、測定したい回路にテストリードを接触させることで、回路の周波数を測定することができます。デジタル表示部分に、測定された周波数が表示されるので確認をして終了です。
周波数測定の注意事項
デジタルマルチメーターは簡単に周波数を測定できますが、測定をする際の注意点がいくつかあります。まずはテストリードを測定対象の回路に接触させる前に、測定機能が周波数測定(Hz)となっていることを確認しましょう。測定機能が間違った状態でテストリードを接触させると故障の原因になりかねません。
また周波数を測定する回路には電流が流れることを覚えておいてください。家庭用コンセントなどでも100Vや200Vといった電圧がかかるので感電に注意しましょう。さらに、ロータリースイッチの切り替えで測定回路を切り替えるため、抵抗レンジの際に誤って電圧を入力すると大きな電流が測定器に流れこんでしまい、漏電ブレーカの誤遮断やアーク発生などの事故に繋がります。
まとめ
「機器の保全」「周波数の違うエリアに引っ越した」など、さまざまな理由で周波数を調べることがあるかもしれません。そのような場合には、デジタルマルチメーターなどのデジタル周波数計をはじめとする、周波数測定機器が必要です。
デジタルマルチメーターは、初心者でも使いやすいものも多いため、目的に応じて周波数測定をしてみてはいかがでしょうか。