モーターの試験方法
モーターの試験方法には何がある?試験が必要な理由や試験方法をご紹介
概要
モーターは家庭用電化製品や産業用の機械、電気自動車などに組み込まれ、さまざまな分野で利用しています。そして、私たちの生活に欠かせない存在となっています。
モーターは磁場と電流の相互作用を利用して回転運動を出力する電力機器です。設計、開発や生産工程などモーターを試験をするには専用の測定器が必要です。
ここでは、モーターの主な試験の方法や試験の必要性についてご紹介します。
モーターとは?
モーターは電化製品から電気自動車、産業機械など、回転運動を利用してさまざまなシーンで活用されています。モーターは駆動電源の種類で分けるとDCモーターとACモーターに分類されますが、目的に応じた分類や原理、電源、構造、特性による分類などにより、さまざまな名前(DCモーター、ブラシレスDCモーター、ステッピングモーター、ACモーター、同期モーター、誘導モーターなど)がついています。
モーターは電気エネルギーを回転する力へと変えるものです。モーターが回るには磁石が関係しています。鉄心にコイルを巻いて電流を流すことで磁石になります。これを電磁石といい、電流の流れているときだけ磁石になります。電磁石にもN極とS極があり、モーターは磁石の引き合う力、しりぞけ合おうとする力があり、モーターはこの力を利用しています。
- 電磁石の原理図
モーターの試験が必要な理由
先にご紹介したように、モーターはさまざまな電化製品や電気自動車、産業機械において、非常に重要な役割を有しています。さらに、モーター自体も電線や絶縁体、鉄心、永久磁石などで構成された非常に精密な機器です。それらの設計や特性により性能や効率性、安全性が左右されます。そのため、モーターはしっかりと試験をして状態を確認しなければなりません。
モーターの試験方法:設計/開発
動的なモーター特性測定
モーターの始動から停止まで、インバータの出力電圧・電流、トルク、回転数をメモリハイコーダに記録します。高速波形演算を使用して、測定後にモーターパワー、モーター効率、インバータ 出力電力を求め、X-Y表示機能を使用して表示します。
- 直流波形の例
モータートルク振動測定
モーターのトルク、振動をメモリハイコーダへ測定し、モーター動作中の挙動を解析します。メモリハイコーダのFFT演算機能により、周波数解析を行うことで、モーターおよび機構の固有振動数と動作時の振動が原因で発生する共振現象など、予想していなかった周波数成分を発見できます。
- メモリハイコーダMR6000と関連オプションの使用例
レゾルバ回転角測定
モーターの正確な角度位置を測定するためのセンサーとして、レゾルバが使用されます。
長時間にわたり厳しい条件で動作できることから、産業用モーター、サーボ、EVなど、過酷な環境で使用されています。
メモリハイコーダにレゾルバの励磁信号および出力信号を測定し、波形演算機能によりレゾルバの回転角を求めます。レゾルバ回転角とその他の信号との関係を解析することでモーター制御シーケンスを調整します。
航続距離の伸長が求められるEVにおいては、モーター制御のエネルギー効率向上が必要であり、精密にモーターを制御しなければなりません。
- メモリハイコーダ MR6000と関連オプションの使用例
モーターの試験方法:生産工程
電気モーターの巻線抵抗の測定
巻線の抵抗を測定することで、断線の有無を調べることができます。高精度な抵抗計を使って測定すれば、線材の太さや巻き数に誤りが無いか判別することもできます。
- 抵抗計 RM3545A
- 抵抗計 RM3548-50
モーターコイルのインダクタンス測定
巻線のインダクタンスを測定します。相間のバランス、モーターの動作性能、回転ムラ、駆動ドライバと電気モーターの整合性等を確認できます。
- LCRメーター IM3536
- LCRメーター IM3523
モーター・巻線の絶縁抵抗測定と耐圧試験
絶縁抵抗試験、耐圧試験を行います。出荷検査として絶縁状態を検査することで、高い安全性を保てます。
- 絶縁抵抗試験器 ST5520
耐圧試験における部分放電の観測
耐圧試験時の電流と電圧の波形を観測することで部分放電を捕捉できます。部分放電の発生は絶縁破壊につながるおそれがあります。
部分放電を確認することで、コイルの潜在不良を把握できます。
- 構成図
モーター巻線のレアショート試験
モーター巻線の絶縁故障(レアショート)、劣化を検出します。
応答波形を数値化することで、従来の手法よりも高精度に良否判定することができます。
- インパルス巻線試験器
まとめ
モーターは磁場と電流の相互作用を利用して回転運動を出力する電力機器として、家庭で使われる電化製品から産業用の大型機械の動力としてさまざまなシーンで活用されています。また、モーターの設計や特性により性能や効率性、安全性が左右されることから、モーターの試験を行うケースは多い傾向です。
今回ご紹介した試験方法のポイントを参考にして、試験を行ってみてはいかがでしょうか。