IEC 62446-1規格による太陽光発電のメンテナンス

脱炭素化を目的とした太陽光発電システムを長期にわたり安全に運用するためには、メンテナンスが不可欠です。そのため、国際規格に基づいた太陽光発電の電気的な試験が重要です。本記事では、IEC 62446-1規格のDC側試験ついて解説します。

IEC 62446-1について

IEC 62446-1規格は、太陽光発電システムにおける書類作成やメンテナンスの国際規格です。系統連系太陽光発電システムのシステム設計者や施工者が、顧客に対してどのように情報や文書を提供しなければならないかについての基準を定めています。

当規格は太陽光システムのDC側の試験について記載されています。太陽光システムの規模によりカテゴリ1とカテゴリ2に分類されます。カテゴリ1はすべての太陽光システムに当てはまるものです。カテゴリ2はメガーソーラーのような大きなシステムや複雑なPVシステムが該当です。

  • 小規模 太陽光発電システム
  • メガソーラー発電所

カテゴリ1の試験

検査項目説明使用する測定器
アース保護導通試験および等電位ボンディングの導通直流側にフレームや等電位ボンディングなどの接地がある場合は、導通試験を行う必要があります。
  • *Ω機能
極性試験スイッチングデバイスやインバーターが接続される前にケーブルの極性を確認します。
接続箱の試験すべてのストリングが正しく接続されていることを確認するための試験です。
PVストリングの開放電圧測定別ウィンドウで表示する直列で接続されたPVモジュールの電圧を確認するため。
PVストリングの電流測定別ウィンドウで表示するPVストリングの機能を確認し、重大な問題がないことを確認するための試験です。
性能試験リレースイッチやブレーカーなどの制御機器が正しく動作すること、適切にせ取り付けられているかどうかをこの検査で確認します。
絶縁抵抗試験別ウィンドウで表示する電気安全を保証するため、絶縁抵抗の試験を行います。

カテゴリ1の試験は、カテゴリ2の追加試験を開始する前にすべて実施し、合格する必要があります。

  • PVストリングの開放電圧試験, 電流測定
  • 絶縁抵抗試験

カテゴリ2の試験

検査項目説明使用する測定器
I-Vカーブ試験PVストリングの電圧・電流の特性を評価する試験です。I-Vカーブトレーサー
サーモグラフィ試験赤外線サーモグラフィで太陽電池モジュールの発熱を検査します。温度の偏差を知ることで、太陽光発電アレイのバイパスダイオードなどの問題を検出できます。サーモグラフィ

カテゴリー1とカテゴリー2以外の検査でも追加検査もあります。

追加試験

試験項目説明使用する測定器
対地電圧-抵抗接地システムPVモジュール製造業者が提供する技術資料に従った抵抗値であるかを測定します。ループインピーダンステスタ
逆流防止ダイオード試験逆流防止ダイオードを使用したPVシステム向けの試験です。
ダイオードの接続や過熱および炭化の兆候がないことを確認します。
濡れた状態の絶縁試験雨や露に濡れても問題ないか確認するため、PVモジュールを濡らした状態で絶縁抵抗試験を実施します。
遮光試験PVモジュールに日射が当たらない状況があるかを確認するため、遮光(日射)状態を記録します。

結論

太陽光発電システムにおけるメンテナンスの国際規格として、IEC 62446-1の規格があります。適切な測定器を使用することでシステムを維持し、稼働させ、安全性を保つことが重要です。HIOKIでは測定者にとって安全かつ効率よく測定が行えるためにさまざまな測定器を提供しています。

太陽光発電システムの施工・保守メンテ用測定器

関連資料