太陽光発電システムのDC1500 Vを安全に測定
高電圧化する太陽光発電システムのメンテナンスにおける課題を解決
脱炭素社会の実現に向けてCO2sub>削減の機運が高まり、太陽光や風力などの自然エネルギーを用いた発電設備の普及が世界的に進んでいます。メガソーラ発電や洋上風力発電のような、非常に大規模な発電設備も次々に建設され、発電量も年々増大してきました。
太陽光発電システムでは高電圧化することで発電効率向上が期待できます。一方で、太陽光発電システムの高電圧化が進むことにより、設置工事や保守点検時の危険性は増しています。
保守点検では目的により各種計測器を用いてソーラーパネルに故障がないかを確認します。例えば、デジタルマルチメータやクランプメータの電圧測定機能を使いストリングの開放電圧を測定します。
それにより、設計値に比べて測定値が大幅に低下してしている場合はストリングの断線またはモジュールの不良と判断ができます。
高電圧化を受け、安全性に関する規格が見直され、系統連系されている太陽光発電設備の測定は、測定カテゴリIIIに分類されました。CAT Ⅲ 2000 Vに対応した直流高電圧プローブP2010とAC/DCクランプメータCM4375-50の組み合わせによる測定は、高電圧化する太陽光発電システムの保守点検、検査における課題を解決します。
高電圧化する太陽光発電システムを安全に測定したい
課題1:電圧の測定範囲に余裕がない
大規模なPVプラントを持つI 社は、ひとつのPVプラントとしては世界で有数の大きなプラントを持っています。以前はDC1500 Vの必要性はなかったが、DC1500 Vの電圧に対応したパワーコンディショナの市場導入、および大規模化による太陽光モジュールの接続が増えたことで、電圧はどんどん高くなる傾向になりました。そのため、1500 Vまでの電圧測定範囲に対応したHIOKIのクランプメータを採用していました。しかし、当時の機種は系統から接続されていない状態での測定という条件がありました。また、採用しているクランプメータでは測定電圧の範囲に余裕がありません。
その後も電圧はさらに高くなり、1700 Vとか1500 Vを超える電圧を測らなければならない状況も出てきました。今後も更にシステムの効率化・大規模化が進むことが予想されるため、より高電圧化に対応した測定器が必要となってきました。
課題2:安全性に関する規格が改定された
測定器は、感電や損傷などの重大な事故から人や設備を守り、安全に使用するために、国際的な安全規格IEC61010により、測定カテゴリが分けられています。太陽電池(PV)モジュールの安全適格性確認に関する規格(IEC 61730-1)では、PVモジュールは過電圧カテゴリIIIに分類されました。そのため、使用する測定器は、測定カテゴリIII相当の対地間電圧への対応が必要となりました。より高い電圧の入力に耐えられる、安全性の高い測定器の需要は更に高まってきました。
課題3:非常に多くの測定箇所があり、点検作業の効率がよくない
広大な土地に建設されたメガソーラ発電所の点検では、数千枚を超える太陽光モジュールを点検作業員が1つ1つ回って点検します。大型の測定器では持ち運びが困難となり、作業員の負担が増加します。安全だけでなく、小型で持ち運びしやすく、作業効率の良い測定器であることも太陽光発電システムの保守点検では必要です。
CAT III 2000V対応のプローブとクランプメータで課題を解決できた
DC1500 V以上の測定に対応した、より安全な機種を求めていたI社は、HIOKIの直流高電圧プローブ P2010がCAT III 2000 Vに対応している点と、AC/DCクランプメータ CM4375-50が持ち運びに便利で、作業性が良い点で採用を決めました。
直流高電圧プローブ P2010は、HIOKI独自のノウハウにより小型化と安全性を両立したCAT III 2000 Vに対応したプローブです。測定電圧を減衰して出力し、クランプメータやデジタルマルチメータと組み合わせDC2000 Vまでの測定を実現しました。
感電をしないために絶縁性を高めることで測定器が大きくなる課題と、現場に運びにくい不都合を解決し、片手に収まる小型軽量のサイズに設計。そして、直流2000 Vに耐える安全設計で、作業者の感電や設備の焼損を防ぎます。また、P2010のプローブ先端部が長く作られているため、金属端子まで深い部分の接触も容易になり、作業効率が向上しました。
AC/DCクランプメータCM4375-50は、電線が入り組んだ狭いケーブル間でも安全に挟んで測定が出来る「スリムジョー」を備えたクランプメータです。交流/直流を自動で判別し、電流は1000 Aまで、交流電圧は1000 Vまで、直流電圧はP2010と組み合わせることでCAT Ⅲ 2000 Vまで測定できます。
CM4375-50は測定した直流電圧をP2010の出力比に応じて換算して表示する「DC HIGH V PROBEモード」を搭載しているため、表示値を換算する必要がありません。太陽光発電システムの保守点検では、ストリングごとの開放電圧(Voc)の確認やストリング電流の確認が1台で行えます。
- 開放電圧(Voc)、動作電流
広大な土地に建設されたメガソーラ発電所の点検作業においても、片手に収まる軽量小型サイズであり、P2010と組み合わせた状態でも、容易に持ち運びが可能です。軽量小型なので、点検作業員に負担を与えません。
エネルギーシステムの進化に追従するHIOKIの測定器
太陽光発電システムの高電圧化は今後も進むことが予想されます。太陽光発電システムに限らず、風力による大規模発電や、火力と自然エネルギーのハイブリッド発電における蓄電システムなど、発電、蓄電に関する設備の効率向上において、高電圧化は避けて通れません。
HIOKIでは、電源品質アナライザ、絶縁抵抗計、デジタルマルチメータなど、保守点検関連の測定器を各種取り揃えています。太陽光発電システムの進化に合わせ、高電圧化や測定効率の向上など、様々な機能を今後も進化させていきます。市場動向を把握し、保守点検、製造、開発の現場の声を取り入れ、今までに測定を望んでもできなかったものを測定可能に変えます。
HIOKIは、お客様の需要に応えられる機能を備えた測定器を幅広くそろえ、デモ機も用意しています。機能を試してみたいお客様は是非お問い合わせください。サンプル品をお預かりしての測定テストも対応可能です。解決したい測定の課題や、気になる測定器などありましたら、お気軽にご相談ください。