電圧の測定方法
電圧の測定方法とは?テスターを使用して電圧を測定するのは簡単です。
- (一般的にテスターとマルチメーターは同意語で使用されるため、以下ではテスターで記載します)
概要
電圧は目に見えないため、回路にどれくらいの電圧が流れているかは目で見て確認することはできません。しかし、電子機器の各回路には動作に必要な電圧が決められており、電圧が高すぎると機器の破損や人体への損傷の原因となります。
また、電圧が低すぎると回路が動作しないため、電子機器が故障した場合は電圧が適正か調べる必要があります。このページでは、電圧を測定する際に使用するテスターの使い方や注意点について詳しくご紹介します。
電圧を測定するにはテスターが必要です。
何かを測定したい場合は、測定器が必要です。測定器は、正確に測定するために使用されます。例えば、「長さであればメジャーや巻き尺」「重さであれば体重計や秤」「時間であれば時計」といったように、物事を正確に測定するためには計測器が必要です。このように、使用する測定器は、測定対象によって異なります。
電圧測定も同様です。特に、電圧は見えたり触れたりできるものではないため、物質の計測と比べて大まかに推測することもできません。そのため、電圧の測定にはマルチテスターが必要です。マルチテスターを使用する目的は、次のようなものが考えられます。
- 安全確認
- 品質確認
- 測定した値から予測する
- 問題解決
- 適性の確認
マルチテスターを用いて、電圧測定をすることによって、電気機器の状態をしっかりと調べることが可能です。
テスターの種類
テスターと一言で言っても、さまざまな種類があります。ここでは、主なテスターの種類について、詳しくご紹介します。
アナログテスター
アナログのテスターは、目盛り板の上を針が振れることによって感覚的に判断することができる測定器です。計測できる項目もシンプルなため、「手軽に使いやすい」というメリットがあります。一方、「計器損失が大きい」という点はデメリットです。
デジタルマルチメーター(DMM)
デジタルマルチメーターは、測定した結果が数値で表示されるため、正確な数値を確認できる測定器です。高機能なものも多く、アナログテスターではなかなか難しい、高機能測定や導通、ダイオードチェックなどもできます。機器によっては、測定したデーターをPCへと転送できるものもあります。また、計器損失が小さいのも特徴です。さらに、デジタルマルチメーターは、整流方式の違いによる種類の違いもあります。
「平均値整流方式」では、入力波形を正弦波として扱い、換算をして測定結果を表示します。 この場合、波形がゆがんでしまうと測定誤差が大きくなる傾向があるので注意が必要です。一方、「真の実効値方式」では、高調波成分などを含んだ波形を換算して表示するため、より測定誤差の少ない数値を表示できます。
真の実効値方式とは、高調波成分を含む波形を2乗平均平方根の計算式で求めて表示します。
その他にも、電流計測端子の有無、測定項目の多様なハイエンドモデルや測定項目が少ないシンプルなモデルなど、機能によっても細かく分類されるでしょう。ハイエンドモデルとなれば、さまざまな用途で高い精度の測定が可能です。しかし、価格も高くなるため、自分の目的に合ったものを購入することをおすすめします。
テスターで電圧を測定する方法
ここでは、アナログテスターやデジタルマルチメーターを用いて電圧測定をする一連の流れについて、簡単にご紹介します。
1. 測定項目を選択する
アナログテスターやデジタルマルチメーターには、電圧、抵抗、電流など複数の測定項目があります。まず、ロータリースイッチを切り替えて電圧測定(V)にしましょう。DC電圧の場合は、図のように電圧の単位「V」とDCを示すマークが表示されます。AC電圧の場合は、単位「V」とACを示すマークが表示される測定項目に設定します。
2. テストリードを挿入する
黒のテストリードをデジタルマルチメーターの COM 端子に挿入します。また、赤のテストリードを「V」および「mV」というラベルの付いた端子に挿入します。正確な測定を行うために、測定前にゼロ調整を行うことをお勧めします。
電圧測定端子
3. 回路に接続して値を読み取る
DC電圧を測定する場合、赤いテストリードがプラスで、黒いテストリードがマイナスです。AC電圧を測定する場合、リードにはプラスとマイナスの関連はありません。電圧を測定する場合は、測定対象の両端にテストリードを接触させます。このようにして、電圧値を測定できます。アナログテスターを使用している場合は、目盛り板の針の位置を読み取ります。デジタルマルチメーターを使用している場合は、ディスプレイの数値を読み取ります。
電圧測定の測定レンジを選択できます。測定する電圧の大きさがわからない場合は、大きい測定レンジから始めて、必要に応じて徐々に低い測定レンジに切り替えてください。デジタルマルチメーターを使用している場合は、多くのモデルで測定レンジが自動的に選択できるものもあるので便利です。
測定レンジを選択
電圧測定の注意事項
テスターを使って電圧測定をする場合、いくつかの注意事項があります。
測定レンジを変更するときは、測定対象の回路からリード線を離す
レンジを変更する必要がある場合は、まずテストリードを測定対象の回路から離してください。テストリードが回路に接触したままレンジを変更すると、計測器が損傷する可能性があります。
テストリードを接触させる場合は不要なものに触れない
テストリードを接触する場合は、目的の部分にだけ触れるようにしましょう。不用意にほかの部分に接触させると、テスターの故障だけではなく、測定する電子機器の故障につながるおそれがあります。
アプリケーションに最適なテスターを選択してください
電子機器の安全性や品質などの確認をするために、電圧測定が必要な場面があります。電圧を測定するためには、マルチテスター(マルチメーター)が必要であり、アナログやデジタルなど、さまざまな機能を有しているものが便利です。ここで紹介した使い方を参考にして、自分の目的にあったテスターを選んで電圧測定をしましょう。