インバーターの試験方法
インバーターの試験が必要な理由、試験の種類や注意点をご紹介
概要
インバーターは家庭用電化製品や産業用の機械において、非常に重要な役割を果たしています。インバーターは電子回路で構成されており、製品の性能試験や保全、故障時の点検など試験を必要とする場面は多岐にわたります。
本ページでは、インバーターの主な試験の種類、試験が必要な理由、そして試験を行う際の注意点などについてわかりやすくご紹介します。
インバーターとは?
インバーターとは、電化製品から大型の産業機械まで、モーターの回転速度を変化させて駆動させる装置として必要とされており、さまざまな場面で活用されています。主な役割は2つあります。
直流(DC)を交流(AC)に変化させる
交流電源は地域によって周波数などの違いはありますが、基本的には電圧と周波数は一定の状態で供給されています。機械によって必要な周波数や電圧が異なるため、使いやすくするためにコンバーターという回路で交流から直流へと変換し、さらにインバーターで直流から交流へと変換させて、機械に合った周波数と電圧に変えているのです。
モーターの回転数を変化させる
インバーターはモーターの速度を変えるために使用できます。モーターが一定速度で動作していると、機械が突然動き出したり、常に最高速度で動作する必要が生じたりして、機械の使用が困難になることがあります。
インバーターを使用してモーターの速度を制御すると、機械を効率的に使用できます。
インバーターの試験が必要な理由
インバーターはさまざまな電化製品や産業機械において、非常に重要な役割を果たしています。さらに、インバーター自体も非常に精密な回路です。そのため、インバーターは目的に対して適切なと試験をして状態を確認しなければなりません。
製品の性能の試験
インバーターが適切な状態でないと製品として成り立ちません。製品や機械が完成した際には、インバーターが設計どおりに作動しているかの性能評価試験を行います。
- インバータの電力変換効率を測定する
保全のための定期検査
さまざまなインバーターシステムがありますが、例えばインバーター盤など機械やポンプなどの設備を稼働させる装置は壊れてから検査をするのでは遅いです。定期的に検査を行い、「インバーターの状態に不具合がないか」「故障の兆候がないか」などを確認する必要があります。
故障時の故障箇所の特定
故障をした際には、「どの部分が故障しているのか」について特定できないと修理をすることができません。インバーターが故障しているかを確認するためにはインバーター試験をすることが必要です。
インバーターの絶縁抵抗試験、電圧・電流測定
インバーターの試験で採用されることがある絶縁抵抗試験、電圧・電流測定についてご紹介します。
- 絶縁抵抗計
- デジタルマルチメーター
- クランプメーター
絶縁抵抗測定
絶縁抵抗試験とは各配線の絶縁が劣化していないかどうかを確認するための試験です。絶縁抵抗試験では故障時だけではなく、トラブル発生の予防をするために定期的に保全検査のための試験をすることもあります。
一次側の電圧・電流測定
インバーターの一次側電圧、電流測定においては、波形が歪んでくると測定値に差を生じます。そのため、真の実効値タイプの電圧計(デジタルマルチメーター)、電流計(クランプメーター)が求められます。
- 平均値整流方式と実効値方式
二次側の電圧・電流測定
インバーターの二次側電圧と電流には基本波に高調波成分が含まれています。一般的にインバーターの二次側電圧測定では、基本波のみの値が要求されます。真の実効値タイプで高調波成分をカットできるフィルター機能付きの電圧計を選定ください。電流計は真の実効値タイプが求められます。
- ローパスフィルター機能
インバーターの絶縁抵抗試験、電圧・電流測定の注意点
インバーターの絶縁抵抗試験、電圧・電流測定を行うときには、いくつかの注意点があります。
絶縁抵抗試験
500 Vの試験電圧で主回路の端子とアース間を測定し、測定値が5 MΩ以上であることを確認します。ただし、絶縁抵抗試験は、高い電圧をかけて絶縁をチェックする測定です。制御回路には実施しないで、インバーターメーカーから指示された点検個所と印加電圧を守って測定しましょう。
二次側の電圧・電流測定
インバーターの二次側は周波数が可変された波形ですので、基本波の周波数範囲を考慮した電圧計および、電流計の選定が必要です。
まとめ
インバーターは直流から交流へ変換することで、モーターの回転数を細かく制御させることができます。家庭で使われる電化製品から産業用の大型機械の動力としてさまざまな場面で活用されています。また、製品の品質確認や、保全管理、故障箇所の特定などで、インバーターの試験が行われます。
今回ご紹介した試験方法のポイントを参考にして、試験を行ってみてはいかがでしょうか。