絶縁抵抗の測定方法
概要
電気絶縁材料は、電気システムの安全性と性能において非常に重要な役割を果たしています。モーター、変圧器、スイッチギアなどのメンテナンスでは、絶縁抵抗検査が定期的に行われ、絶縁体が期待通りに機能しているかどうかを確認します。研究開発においても、材料の電気的特性を評価するために絶縁抵抗試験が行われます。本記事では、絶縁抵抗試験の原理、用途、一般的に使用される測定器についてご紹介いたします。
絶縁抵抗試験の原理
ハンディタイプの絶縁抵抗計、超絶縁計、エレクトロメーター、ピコアンメーターは、絶縁抵抗試験で広く使用されています。これらの測定器は、測定対象(DUT)に直流電圧を印加した際に流れる電流を測定し、オームの法則に基づいて抵抗値を算出します。数ギガオーム(GΩ)を超える高抵抗の場合、測定される電流は非常に小さく、高精度な測定器が必要です。 メンテナンス時の絶縁抵抗試験では、絶縁システムが正常に機能していることを確認するために、特定の試験電圧下で絶縁抵抗が一定の抵抗値以上であることを確認します。この試験は通常、システム電圧よりも高い電圧で実施され、システムが最低限の要件を満たしているかどうかを確認するためのものです。
絶縁抵抗測定器内部回路
一方、絶縁材料の電気的特性の評価では、より高精度な測定器が使用されます。測定値は温度や湿度、試料の大きさ、測定電極の形状など、さまざまな条件に影響されるため、異なる材料を比較する場合、これらの条件をできるだけ一定に保つことが重要です。また、メンテナンス時の測定よりも高い抵抗を測定することがあるため、測定器はより高い抵抗値を測定できることが求められます。
測定値のドリフト
試験中に絶縁抵抗の測定値が変動することがよくあります。この現象は測定電流が時間とともに変化することによって引き起こされます。
測定電流の変化について理解するために等価回路を用います。絶縁物の等価回路は、複数のコンデンサと抵抗が並列および直列に接続された形で表すことができます。
測定される電流は次の3つの状態を経て安定します。
- 1.分極初期(electrification state):等価回路内のコンデンサ(C0)が瞬間的に充電される期間。
- 2.分極進行期(polarization state):C0が充電された後にC1、C2‥‥‥、Cnが充電される期間。絶縁物の分極によるもので、測定電流は時間とともに減少します。この期間の充電電流は吸収電流と呼ばれます。
- 3.安定期(steady state):等価回路内にあるすべての容量成分が充電された後の状態。R0による漏れ電流が測定されます。
t1で電圧印加開始された後のDUTに流れる電流の変化を図に示します。吸収電流が流れる間の誘電体の充電および放電時間は、測定対象によって異なり、定常状態に達するまでに数時間から数日かかることがあります。実際に測定値を比較するためには、1分値が使用されることが一般的です。これは、電圧をかけ始めてから60秒後の値です。
絶縁抵抗を測定する
ハンディタイプの絶縁抵抗計
一般的に絶縁抵抗計と呼ばれるハンディタイプは、現場メンテナンス用に機能を絞り、小型・軽量です。テストリードを接続し、測定電圧を設定することで、測定準備が整います。通常、測定電圧は、測定対象の動作電圧よりも高い値を設定します。測定は測定開始ポタンで開始され、一部のモデルでは、測定開始から1分後の測定値 (1分値)を表示することもできます。
ベンチトップタイプの絶縁抵抗計 (超絶縁計/エレクトロメーター)
超絶縁計で測定される材料にはさまざまな種類があります。測定は、材料の形状やサイズに適した測定電極を使用して行います。測定器では測定電圧を任意に設定でき、測定時間は、充電時間の設定など、詳細に設定できます。専用のアプリケーションも利用可能です。測定は、測定器の測定開始ボタンやアプリケーションを通じて開始することができます。
まとめ
電気絶縁材料は、電気システムの安全性と性能を確保します。モーターやトランスフォーマーなどのデバイスに対する定期的な絶縁抵抗試験は、機能性をチェックするために行われます。超絶縁計やハンディタイプ絶縁抵抗計は、直流電圧を印加して、測定した電流の値から抵抗を計算します。ハンディタイプ絶縁抵抗計は操作が簡単で、フィールドでの使用に最適です。一方、ベンチトップ絶縁抵抗計はさまざまな材料の詳細な試験のために幅広い設定を提供します。
