プラスチック、樹脂等の絶縁材料の表面抵抗率および体積抵抗率測定
概要
脱炭素社会の実現に向けて、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの積極利用や、これまで化石燃料を使用していた機器の電動化が、自動車業界、農業、建設機器業界、航空業界などさまざまな分野で加速しています。電気システムの電力消費は増加し、システム内で使用される部品は高電圧、大電流、さらには高温状態にさらされることが多くなっています。絶縁ケーブル、潤滑油、基板などのシステム内で使用される部品は、材料レベルから実際の使用条件に近い試験条件で評価されることが求められ、材料固有の特性である抵抗率の測定需要が高まっています。
ここでは、多くのアプリケーションで使用される樹脂材料の表面抵抗率と体積抵抗率の測定について説明します。
平板試料の抵抗率測定
抵抗率の測定は、一般的に超絶縁計/エレクトロメータと呼ばれる計測器と測定対象に合わせた測定電極を使用して行われます。測定対象の形状や抵抗値により最適な測定電極を選ぶことが必要です。例えば平板形状であるプラスチック材料の場合、研究開発段階では試料サイズを大きくすることは難しく、さまざまな測定に対応するためには小さい試料から比較的大きい試料まで測定可能な測定電極が求められます。また、測定試料によってはテラオームを超える場合があり、このような高抵抗測定に対応する測定電極が求められます。
平板試料用電極SME-8310(*1)、SME-8311は85 mmから100 mm角あるいは40 mmから100 mm角の測定対象を測定可能です。超絶縁計SM7110、SM7120(*2)とこれらの電極を組み合わせることで、SME-8310では1×1016Ω以下のSME-8311では2×1016Ω以下のプラスチック材料の表面抵抗率、および体積抵抗率(*3)を測定することができます。SM7110、SM7120では、対応する測定電極の形名を選択し測定対象の厚みを入力するだけで、抵抗率計算結果を表示することができます。
また、そのほかの測定電極を用いる場合は、電極寸法、測定対象の厚みを入力しておくことで、測定後に手計算することなく、表面抵抗率および体積抵抗率を直接読むことができます。また、超絶縁計と電極をインターロック接続ケーブルDSM8104Fで接続すると、蓋が開放状態では測定電圧は「OFF」となり、安全に測定できます。
*1: 平板試料用電極SME-8310は、JIS K 6911-1995「熱硬化性プラスチック一般試験方法」を参考としています。
*2: SM7120の定格電圧は2000 Vですが、電極使用時はその定格電圧に合わせて1000 Vに制限されます。
*3: 体積抵抗率、表面抵抗率の詳細な説明は、「絶縁抵抗測定の手引き」を参照ください。
ポリアセタール(POM)樹脂の体積・表面抵抗率実測事例
超絶縁計SM7110、変換アダプタZ5010、平板試料用電極SME-8310を用いて、POM樹脂(大きさ 約92 × 92 × 5.6 [mm])の体積抵抗率ρV、表面抵抗率ρSの測定をしました(図1, 2)。

図1 試験設備の接続図
図2 測定対象
誘電分極現象を考慮して、測定開始1分後の値(1分値)を取得しました。抵抗率測定に用いるD1、D2は、SME-8310を選択することで自動入力され、測定対象の厚みtを入力することでρS、ρVが自動計算され、2.99348 x 1014 Ω/□と7.37507 x 1013 Ω・mが得られました(図4, 5)。
図3.測定電極に関する設定
図4 表面抵抗率(ρS)測定結果
図5 体積抵抗率(ρV)測定結果
まとめ
脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの利用や機器の電動化が進む中、電気システム内の部品は高電圧・大電流や高温にさらされます。そのため、部品固有の材料特性である抵抗率の測定が重要です。平板試料の抵抗率測定には、超絶縁計と測定電極が必要です。平面試料用電極SME-8310、SME-8311は、超絶縁計SM7110、SM7120と組み合わせることで、プラスチック、樹脂等の絶縁材料の表面抵抗率と体積抵抗率を簡単に測定できます。
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