ESSのキーデバイス、DC-DCコンバーターの「効率向上0.1%」をどう測る?
データセンターにおける増大するエネルギー課題とESSの役割
AIやクラウドサービスの急成長により、世界中のデータセンターはこれまでにない量の電力を消費しています。
ハイパースケール施設では、年間の電気料金が数十億円を超えることもあります。
このような環境負荷の低減やコスト削減をすすめるために、データセンターは再生可能エネルギーの導入やエネルギー削減戦略を急速に進めています。その中で注目されているのがESS(エネルギー貯蔵システム)です。ESSは単なる非常用電源としてだけでなく、以下のような役割を担っています。
- ピーク電力の削減(契約電力の引き下げ)
- 再生可能エネルギーの変動吸収・平準化
- 瞬時電圧低下や停電時のバックアップによる事業継続
- PUE(電力使用効率)の改善による冷却負荷の削減
このESSで重要な役割を果たすのがDC-DCコンバーターです。その効率はシステム全体の性能に直接影響を与えます。DC-DCコンバーターの変換効率が悪い場合、エネルギーコストが膨らみ、冷却負荷も増え、最終的にはデータセンターの損失に直結します。
開発エンジニアの課題:0.1%の差を正しく測ることがスタートライン
ESS向けDC-DCコンバーターの開発において、最も重要な要求はシンプルです。
- 効率を0.1%でも向上させること
- その違いを数値で証明すること
これを達成するためには、効果を確かな数値で裏付ける測定力が必要です。
バックアップ時の大電流を正確に測定するのは当然ですが、本当の課題は0.1%の改善が実際のものなのか、測定誤差なのかを区別することです。
この課題を解決するためには、電力アナライザのDC測定精度が重要になります。
検査ラインの課題:R&Dと同じ精度を最小限のコストとシステムで実現する
生産段階では、同じDC-DCコンバーターを複数ラインで効率良く検査する必要があります。 そのときに最も重視される課題は次の通りです。
- R&Dと同じ精度を保証する(最上位要件)
- できる限りコスト効率の高いテストシステムを構築する
- 余計な機器を増やさない
「1台の計測器で実現したい」
これが多くの現場の実情です。
ESS向けDC-DCコンバータには、大電流と微小電流のそれぞれの測定が必要
ESS向けDC-DCコンバーターは、2つのモードで動作します。
- 放電モード
最大出力で数百Aを供給(ピーク抑制) - 充電モード
10 A以下の小電流でゆっくりと充電(夜間・安全設計)
このように、ESS向けDC-DCコンバーターは数Aから数百Aまでの広いダイナミックレンジで動作します。 そして、どちらのモードでも正確な電力測定が求められます。 測定器には、測定レンジの上限下限に関係なく「広レンジで高確度を維持する能力」が求められます。
解決策:HIOKI パワーアナライザ PW4001
PW4001は、DC-DCコンバーターの評価・検査の最適解となる条件を満たしています。
- 直流測定確度:±0.04%rdg(DC)
- 1000 Aまで対応可能な多彩な電流センサー
- 電力と波形分析を1台で実現
- 自動検査システムへの組み込み対応
精度と測定範囲の可視化:センサー選定が重要な理由
PW4001は±0.04% rdgの基本精度を実現しますが、実際の測定性能は電流センサーの性能にも依存します。 低負荷時の精度を維持するためには、低f.s.誤差を持つセンサーを選択することが重要です。
- 低電流時(例:低速充電時)
センサーのフルスケール(f.s.)誤差%が支配的になります。 - 高電流時
読み取り値の%誤差(rdg)仕様がより重要になります。
PW4001+ 電流センサ 組み合わせ確度
このグラフは、高電流と低電流の両方で0.1%の総誤差を維持するために、適切なセンサー選択と範囲設定が必要であることを明確に示しています。
活用事例
- R&D評価
PW4001 + CT6876A(1000 Aセンサー)で、 波形と電力を1台のシステムで検証 - 検査ライン
PW4001 + 小型クランプセンサで、精度を維持しつつ、機器数を最小化 - ライン拡張
PW4001 × N台を全ラインに導入 し、標準化された試験レシピで一貫した精度を確保
まとめ:高確度な測定を最適なコストで実現
HIOKI パワーアナライザ PW4001は以下を提供します。
- ±0.04%rdgの直流測定確度で、DC効率検証をサポート
- 波形と電力を1台で測定し、装置点数が削減できる
- 検査ラインへの展開性も優れる
「R&Dと検査ラインを、同じ確度で、余計な機器なく、最適なコストで構成する」
これを実現できるのはHIOKI パワーアナライザ PW4001です。
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