電源異常の迅速対応を実現
電源品質の集中管理・即時確認で、保守管理と迅速なトラブル対応が可能に
今回のお客様
東南アジアのE国に拠点を構えるG社は、発電・送電・給電の3事業を展開しています。政府系企業のため強固な財務基盤を持ち、都市部から農村部まで、E国の大部分に電力を供給しています。
導入前の経緯
迅速なトラブル対応のため、電源品質を正確に計測し、素早く確認したい
東南アジアにあるE国では、右肩上がりで増え続けている電力需要を背景に、近年インフラ整備が着実に進んではいるものの、供給が追いついていません。設備を原因とする電源品質の低下などのトラブルにより、お客さまに不安を抱かせることも少なくありません。
E国で発電・送電・給電の3事業を展開しているG社としても、トラブル発生時には速やかに、正確に事実や状況を把握し、解決に結びつけたいと考えていました。しかし、これまで使用していた他社製の電源品質の監視機器では、トラブル発生時の原因特定はもちろん、日常的な保守管理という面でも、思うように活用できていませんでした。
例えば、電源品質を測定したデータは、E国内各地に設置した監視機器本体に保存されるため、機器のある場所へ行かなければ、測定結果を知ることができませんでした。また、測定データは解析ソフトを使用することで、さまざまな視点での解析が可能になりますが、G社固有の要望に合わせてソフトの仕様をカスタマイズすることができず、G社は不自由を感じながら解析ソフトを使用していました。
ほかにも、ケーブルにはさみ込んで固定するクランプ型センサが、強く握らないとはさめないため計測のたびに苦労があったことや、監視機器同士をLANでつなぎNTPでネットワーク全体の時刻を合わせていましたが、そのタイミングの精度が低かったなど、G社は数々の不満を持っていました。
お客様がHIOKIを選んだ主な理由
遠隔地のリモート監視、高い測定精度、使いやすさなどが決め手に
電源品質の監視機器を切り替える検討をG社が進めていたところに、E国の販売代理店を通じてHIOKIが提案したのが、電源品質アナライザ PQ3198と専用のアプリケーションソフトでした。
この提案の中で、G社の目を引いたのが遠隔監視です。E国各地に配置する測定器とパソコンをLAN通信で接続することで、デスクから測定データ取得や遠隔操作が可能になるのは、他社の製品にはない機能でした。
また、競合他社製品と測定精度を比較するため、G社は校正器から400 Vの電気を流す実験をしました。すると、他社製品の計測結果は398 Vだったところ、PQ3198は正確に400 Vを計測。この高い精度について、G社は高く評価しました。
さらに、PQ3198 の電圧コードが接続されているワニ口クリップは、機器を金属端子に接続するのが難しい場合に、マグネットアダプタに交換できます。こうした部品も自社で提供しているHIOKIの一貫した体制と、それに基づく適応力・対応力の高さも、選定する要因の1つになりました。
さらに、トランジェント電圧の測定についても、PQ3198は単一レンジで低電圧から高電圧まで広範囲な測定が可能なうえ、2 MHzのサンプリング周波数で700 kHzまでの広い周波数帯域にも対応しています。
競合製品よりもきめ細かくデータを取得し、ごくわずかな過渡電圧も検出する機能は、G社の要件に完全に一致しています。
- マグネットアダプタ
- AC/DC電流センサー
また、電流・電圧のベクトル図で結線の正確さが瞬時に分かる機能や、直流から交流への変換効率が分かる機能など、他社にはない便利な機能が豊富にあることをG社は高く評価し、PQ3198とPQ ONEの導入を決めました。
導入後の効果
計測データの集中管理・即時確認が可能になり、より迅速に対応できるようになった
広いE国でもLAN通信により、計測データを事務所から収集できるようになり、データの集中管理、遠隔地のデータを即時確認できる体制が整いました。トラブルの発生時も起きた事象やその原因がすぐに分かるため、修理や改善に取りかかりやすく素早い解決が可能です。G社の顧客から寄せられるトラブルに関する問い合わせに対しても、迅速に回答できるようになりました。
また、G社は今回、違う場所の電源品質を全く同じタイミングで計測したいと考えていて、その測定時刻の同期を取るため、各機器にGPSを搭載することを希望していました。その要望に対してHIOKIはGPSボックスを提案。このGPSボックスのおかげで機器内部の時刻を、UTC標準時を基準とした時刻に補正できるようになりました。これは、複数機器で測定した場合でも同時性を保持した解析が可能です。屋外・室内ともに置いたままでも通信に影響はないため、便利に活用しています。
- GPS時刻同期
さらに、G社は解析ソフトについて、以前の製品のように、電圧と電流の組み合わせで解析する電力レンジが決まることがなく、メガワットに加えてキロワット、ギガワットなどの単位が選択できる仕様に変更しました。
これまで電源品質の計測について、いくつかの不満を抱えていたG社ですが、このPQ3198とPQ ONEをE国内の16カ所で導入したことにより、すべての不満を解消できました。今後は範囲を広げ、G社が持つ約200の事務所をはじめ、より多くの場所で活用できるよう、導入台数を増やしていきたいと考えています。また、直近の問題としてG社は配電盤の誤動作を挙げていますが、こちらもHIOKIと話し合い解決に向けて進めていく方針です。