部分放電検出器 ST4200

モーター内部に潜む軽微な絶縁不良を検査するためのデュアルモード部分放電検出器

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なぜモーター巻線の部分放電試験が必要なのか

モーター巻線で部分放電が続くと絶縁が劣化し、短絡や破壊、火災につながる恐れがあります。絶縁抵抗試験や耐電圧試験は、短絡や大きな漏れ電流などの明らかな絶縁不良を検出するためのものです。従って、軽微な劣化や潜在的な不良を捉えることはできません。部分放電試験は、そのような異常の前兆を検出します。故障前に異常を見つけることは、信頼性と安全性の確保に欠かせません。
HIOKIのST4200-50は、生産ラインで再現性ある測定と信頼性の高い不良検出を実現します。

ノイズに強い部分放電検出でEVモーターの品質を向上

部分放電検出器ST4200-50は、高電圧リレーボックスSW2001と組み合わせることで、モーター生産試験向けの包括的な部分放電(PD)検出とシームレスなシステム統合を実現します。ST4200-50の高周波CTによるPD検出は、PD検出にマイクロ波アンテナを使用する場合に問題となる、生産ラインでのノイズ干渉を軽減します。

特長

  • デュアルモードPD検出:
AC PD & インパルスPD検出
  • 高周波CTを用いたノイズに強い部分放電検出
  • SW2001との連携で複合検査システムでも安定した部分放電検出

形名(発注コード)

ST4200-50 お見積り

潜在的な絶縁不良の検出を大幅に向上

デュアルモード部分放電検出

AC PD 試験(IEC 60270 および IEC 60034-27-1 準拠)とインパルスPD試験(IEC 61934 Ed. 2 および IEC60034-27-5 準拠)により、モーター巻線の潜在的な絶縁不良を検出します。選択可能なPD試験により、各モーターの特定のニーズに合わせて検査プロセスをカスタマイズし、潜在的な欠陥の検出を最大限に高めることができます。

生産ラインでも信頼性の高いPD試験が可能

高周波CTを用いたノイズに強い部分放電検出

高周波CTによるPD試験では、マイクロ波アンテナを使用した生産ラインでのPD試験におけるノイズ干渉や、試験設備の配置が測定結果に与える影響を低減します。

ノイズの影響を低減するシンプルなシステム設計

高電圧リレーボックスSW2001 との連携

ST4200-50をSW2001と組み合わせることで、検査システムを簡素化し、ノイズの影響を低減できます。複数の機器が統合され、ケーブル配線や相互接続が最小限に抑えられることで、計測環境がシンプルになり、電磁妨害(EMI)、グラウンドループ、容量結合などの潜在的なノイズ源を効果的に低減できます。これにより、より正確で信頼性の高い測定が実現します。

AC PD 測定

検出方式 検出インピーダンスとバンドパスフィルタを用いた放電電荷量測定方式
IEC 60270 の検出方法に準拠
試験周波数範囲(印加電圧) 45 Hz ~ 1.1 kHz
電荷量測定範囲(Q) 10 pC ≦ Q ≦ 500 pC(供試体静電容量 C:200 pF ≦ C < 2 nFにおいて)
10 pC ≦ Q ≦ 2500 pC(供試体静電容量 C:2 nF ≦ C ≦ 10 nFにおいて)
測定項目 【ノーマルモード】
繰り返し発生する最大 PD 強度(Q max), PD パルス発生数(m, m+, m-), PD パルス発生率(n), 電圧実効値(U rms), 電圧波高値(Up+, Up-), 電圧ピークツーピーク(Upp), 平均放電電流(I), 放電電力(P), 二次レート(D), PD パルスの見かけの電荷(q), PD パルス位相角(φ)

【PDIVモード】(ノーマルモードの値に追加して次の値)
PD 開始電圧(Ui)、PD 消滅電圧(Ue)

インパルスPD 測定

検出方式 CTとデジタルフィルタによる放電電流検出
IEC 61934 Edition 2.0の検出方法に準拠
サンプリング速度 200 MS/s
測定項目 【ノーマルモード】
PD ピーク放電量(Qpk)、パルス列中の PD 発生数(m)

【PDIVモード】(ノーマルモードの値に追加して次の値)
PD 発生開始電圧(PDIV), 繰り返し PD 発生開始電圧(RPDIV), 繰り返し PD 消滅電圧(RPDEV), PD 消滅電圧(PDEV), 繰り返し PD ピーク放電量(RQpk)

高電圧発生源 制御

制御内容 部分放電試験部分放電試験の高電圧発生源として耐圧試験器、インパルス巻線試験器を連携制御
対応機器(2025年2月現在) 自動絶縁耐圧試験器3153, インパルス巻線試験器ST4030A、他

AC PD 測定, インパルスPD 測定 共通

測定モード ノーマルモード:一定電圧を印加し、単発または連続測定を行う
PDIVモード:準拠規格に沿って印加電圧を変えながら測定を行う
機能 判定機能, グラフ表示機能(AC PD: 電圧波形, PDパルスモニター/インパルス PD: 電流波形, PDパルスモニター)
保存先 SDメモリカード , USBメモリ, 内蔵SSD
※メディアは純正オプション品に限る
放射性無線周波電磁界の影響 50 pC以下(10 V/mにて)
伝導性無線周波電磁界の影響 50 pC以下(10 Vにて)
電源に重畳するパルスノイズの影響 50 pC以下(1 kV,パルス幅50 nsのパルスノイズ重畳時)
インターフェース LAN, USB, RS-232C(市販品の USB シリアル変換ケーブルをご使用ください), EXT. I/O
電源 定格電源電圧:AC 100 V~240 V, 定格電力:300 VA
寸法・質量 約353(W)×約235(H)×約154.8(D) mm(突起物含まず), 約7.3 kg(U8332装着時), 約7.1 kg(U8332未装着時)
付属品 電源コード × 1, スタートアップガイド × 1, 使用上の注意 × 1

保存メディア (3)

注意
※弊社オプションの保存メディアを必ず使用してください。弊社オプション以外の保存メディアを使用すると、正常に保存、読み出しができない場合があり、動作保証はできません。

内蔵記憶装置 (1)

※生産時に組み込むため発注時に指定ください。

通信ケーブル (2)

ST4200と測定器の接続には、市販のUSBシリアル変換器をご使用ください。

部分放電センサー (3)

※SW2001を使用しない場合は別途センサーが必要です。


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