クランプメーターの使い方

知っておきたいクランプメーターの使い方のポイントや注意点

概要

電流や電圧などを測定するには、専用の計測器が必要です。電流を測定する場合、アナログマルチテスターやデジタルマルチメーターなどがよく使われますが、計測器のテストリードを回路に直列に接続できるように回路を切断する必要があります。多くの場合、回路が切断できない状況があり現実的ではありません。また、回路を切断すると感電などのリスクも生じます。

そのようなときに便利なのが、クランプメーターです。ここでは、クランプメーターの使い方や注意点などについて詳しくご紹介します。

クランプメーターとは?

クランプメーターとは、洗濯ばさみのような形状をしており、通電状態の電線をジョー(クランプセンサー)の中央にはさみ込む(クランプする)ことで、電流を計測できる計測器です。測定原理としては、電線に流れる電流から発せられる磁場を検出して電流値を測定します。

これはマルチメーターなどの計測器と異なり、測定対象の回路を切断せずに電流を測定できるというメリットがあります。クランプメーターを大きく分類すると、2種類あります。

  • 負荷電流を測定するために設計されたモデル
  • 漏れ電流を測定するために設計されたモデル

さらに直流(DC)を測定するか交流(AC)を測定するか、平均値方式(MEAN)か実効値方式(True RMS)かなど、細かく分類されます。通常の交流回路の測定であれば、負荷電流を測定するモデルを用いましょう。最近のクランプメーターには、負荷電流測定と漏れ電流測定の両方に対応しているクランプメーターもあります。

基本的なクランプメーターの使用方法

ここでは、負荷電流および、漏れ電流を測定するクランプメーターの使い方について、簡単にご紹介します。

両方のタイプに当てはまる部分

一般的に、負荷電流と漏れ電流のクランプメーターは、基本的な使い方は同じです。まず、直流電流(DC A)または 交流電流(AC A)を選択できる場合は、測定する回路に適した電流の種類を選択します。次に、測定する電流の大きさに基づいて測定レンジを設定します。DC 電流を測定する場合は、ゼロ調整を忘れずに実行してください。

準備ができたら、クランプメーターのジョーを開き、測定したい電線にはさみ込みます。電線をジョーの中心に配置すると、より正確に計測できます。

  • 電線の位置はジョーの中央にある(推奨)
  • 電線の位置がジョーの中心から外れている

負荷電流クランプメーターの使い方

負荷電流を測定するために設計されたクランプメーターは、1 本の電線にはさみ込んでください。複数の電線に同時にはさみ込むと、適切な測定ができなくなるため、機器を複数のワイヤに同時にはさみ込まないように注意してください。

漏れ電流測定クランプメーターの使い方

漏れ電流を測定するために設計されたクランプメーターには、もう少し注意が必要です。接地線は単独で測定する必要があります。交流電路で漏れ電流(零相電流)を測定する場合は、すべての電線を一括 (単相の場合は 2 本、三相の場合は 3 本) してはさみ込みます。

漏れ電流を測定する場合、2 本の電線を同時にはさみ込むことがあります。
漏れ電流は負荷の絶縁抵抗を通して大地に流れる電流のことで、正常な場合は数μA程度以下、負荷が多数接続されている場合は数十μAにもなります。
漏れ電流用のクランプメーターを使用して往復の2線をはさみ込むことで、往復の微小な差分を検出し、漏れ電流として測定できます。

クランプメーターでやってはいけないこと

アナログマルチテスターやデジタルマルチメーターと同様に、クランプメーターも使用する際に注意しておく点があります。
電流センサーによって異なりますが、裸導体へジョーをはさみ込むことは、安全のため使用はせずに絶縁導体への使用にとどめてください。

クランプメーターは、電線を切断する必要がないので安全性の高いものですが、対地間最大定格電圧以下の電路で使用しましょう。また、クランプメーターのバリアは、安全の限界を示すものとなるため、使用中はバリアから先のジョー側を触らないでください。
そして、定格の範囲外、または仕様の最大入力電流を超える電流を測定しないでください。

最適なクランプメーターの選択

先述したように、クランプメーターは直流や交流など用途に合わせてさまざまな種類があります。そのため、測定したいものに合わせて選択することが必要です。例えば、自動車や無停電電源(UPS)などのバッテリーや太陽電池などの測定には、直流電流を測定できるクランプメーターが必要になります。

一方で、一般家庭やビル・工場などで電灯や動力ラインなどの交流配電路の負荷電流測定や漏れ電流測定を行う場合は、ACクランプメーターが必要です。通常の測定であれば、負荷電流を測定できるACクランプメーターを、電気設備の絶縁不良などによって生じる漏れ電流や接地線に流れる電流測定をする場合は、漏れ電流が測定できるクランプメーターを選択しましょう。

クランプメーターを安全に使いこなそう

クランプメーターは、電線を切断せずにはさみ込むだけで電流などを測定できる便利な計測器です。基本的な使用方法は、はさみ込むだけなので安全で使いやすいでしょう。ただし、使い方を誤ると危険な場合があります。このページでご紹介した使用方法や注意点、クランプメーターの選び方などを参考にして、安全に使いこなしましょう。

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