製品・技術 2024.03.22
AI時代のプローブカードを確実に検査 新型フライングプローブテスタを提供開始
HIOKI(日置電機株式会社:長野県上田市、代表取締役社長:岡澤尊宏)は、最先端のIT技術に用いられる高密度基板の検査に向けたフライングプローブテスタ※1FA1815-20を、2024年3月26日に発売します。FA1815-20は、最速100ポイント毎秒の検査スピードと高いプローブ位置精度、また10Vの電圧で100GΩの高い絶縁抵抗※2を検査できる機能を搭載しています。プローブカード※3をはじめとした高密度基板の検査時間短縮と、潜在不良を排除した高い品質を実現し、半導体産業の生産性向上に貢献します。
- ※1フライングプローブテスタ:回路基板の検査装置。セットされた基板に対し、測定プローブ(金属のピン)が高速で移動して回路を検査する。設定を変更することで、様々なパターンの基板に対応可能。
- ※2絶縁抵抗:複数の回路パターン間の抵抗。生産された基板において回路パターン間の抵抗が低いと、最終製品の故障や誤動作の原因となる。
- ※3プローブカード:半導体の生産工程において検証に用いる治具。ベースとなる基板の部分が微細なパターンで構成されている。
- FA1815-20内部と検査対象の高密度基板
開発の背景
人工知能や5G、IoT(Internet of Things)といった新しいIT技術が世界中で急速に発展しています。IT技術を搭載した電子製品の利用が社会により広がるにつれ、求められる信頼性要求もますます高くなっています。IT技術の前提となる電子回路は、高密度基板と呼ばれるハードウェアに搭載されています。高密度基板は半導体技術の進化にともなって日々さらなる高集積化が進んでいます。高集積化の進展は回路パターンの微細化とパターン数の増大をもたらし、高密度基板製造時の検査にはこれまでよりも高い品質が要求されるようになってきました。FA1815-20は高度化する市場の要求に応え、これまでのモデルに比べスピードと精度の双方を改良し、基板にダメージを与えることなく潜在的な不良を検出する機能も搭載しました。
IT技術の進化が目覚ましい半導体市場では、次世代の技術を社会実装するため生産性と信頼性の向上が求められています。高密度基板のマザーツールであるフライングプローブテスタに強みを持つHIOKIは、FA1815-20によって新たな価値を提供し、社会の発展に貢献していきます。
発売する製品の特長
- フライングプローブテスタ FA1815-20
1. 高い信頼性を実現するプロービング精度
高集積化により回路パターンの微細化が進んでいます。FA1815-20は高い剛性をもつ機体設計と新しいプローブ制御方式により、最小34μmのピッチ(測定パターン間の距離)と、最小4μmサイズのパッド(回路上の測定箇所)の分解能を有し、極小の回路パターンでも確実なプローブ接触が可能です。
2. 生産性を向上する高速検査の実現
高集積化により搭載される回路パターン数の増大もまた進んでいます。FA1815-20は、機械ハードウェアの再設計と新しいプローブ移動アルゴリズム採用により、従来機種に比べて最大30%※4の検査時間短縮を実現しました。
- ※4導通絶縁検査約4万ステップでの比較
3. 基板へのダメージを低減する10Vで最大100GΩの絶縁抵抗検査
誤動作や故障の原因となる回路基板の潜在的な不具合は、高電圧の絶縁抵抗検査により発見できます。しかし高電圧をかけることで、検査自体が基板にダメージを与えてしまうおそれもありました。FA1815-20はヘッドアンプの改良により10Vの電圧で最大100GΩの絶縁抵抗検査を実現しています。基板へのダメージリスクを最小限に抑えつつ、信頼性の高い検査を実現しています。
主な用途
- AIの演算に用いられるGPU向けプローブカードの検査
- 5G、IoTデバイス半導体向け高密度基板の検査
- スマートフォン、ウェアラブルデバイス、自動運転車など高機能製品の基板検査
提供開始日
2024年3月26日
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