製品・技術 2022.02.14
バッテリーの火災事故ゼロに向けて、バッテリー品質検査用の計測器を2022年内に3製品発売
HIOKI(日置電機株式会社:長野県上田市、代表取締役社長:岡澤尊宏)は、世界各国で需要が拡大しているLIB(リチウムイオンバッテリー)の安全性を向上させるため、バッテリー生産ラインの品質検査で潜在不良を検出できる計測器3製品について、2022年中に発売します。
発売にさきがけ、先行情報を特設サイトで公開します。続報は4月に公開予定です。
- 左からBT5525、ST5680、RM3546
開発の背景
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、世界各国で脱炭素化の取り組みが加速しています。大手自動車メーカーではCO2を排出しない電気自動車へシフトする動きが見られ、動力源となるLIBの需要が拡大しています。
一方で、LIBの不良品による火災事故の報告もあり、LIBの品質向上が求められています。
LIBの内部は、正極側と負極側とで別々の電解液が満たされ、セパレーターで仕切って絶縁されています。LIBの生産工程で鉄粉など異物が混入すると、セパレーターが傷つき、絶縁不良となります。絶縁不良により短絡電流が流れ、発熱が起こります。短絡電流が大きいと、高温となり電解液に引火して火災を引き起こすこともあります。
また、LIB内部の材料は、電流が流れやすいように金属で溶接されています。溶接の品質が悪いと抵抗成分が大きくなり、電流を流しづらくなることから発熱します。発熱によりLIBのエネルギー効率が低下したり、劣化や故障につながり、安全が損なわれます。特に電気自動車は、急速充電時や走行中に大電流を流すため、LIBのわずかな溶接不良でも高温となり、出火を引き起こしやすくなります。
このような背景から、LIBの品質を向上させるため、潜在不良を検出することのできる計測器を提供することで、安全性の高いLIBの生産を可能にします。世界各国で市場が拡大するバッテリー生産ラインの検査品質向上を牽引し、より安心して暮らせる脱炭素社会の実現を推進します。
発売する製品の特長
- 1. 絶縁抵抗試験器BT5525
- LIBのセルを生産する段階で、発熱や発火の原因となる内部短絡を検出できます。検出性能が非常に高いため、これまで検出が困難だった金属異物の混入や絶縁物の破れなどを検出できます。
- 2. DC耐電圧絶縁抵抗試験器ST5680
- 完成LIBにおいて、絶縁状態の良否判定ができます。さらに、検査結果は波形で表示したり記録したりすることも可能です。不良原因を後で解析しやすいため、品質管理を行なっている担当者の負担を軽減できます。
- 3. 溶接抵抗計RM3546
- LIBの構成部材同士を接続する溶接品質の良否判定ができます。測定性能が非常に高いため、わずかな溶接不良も検出できます。また、溶接直後の熱を持った状態でも正確に測定できる補正機能により、冷めるのを待たずに検査できます。
主な用途
LIB生産工程の絶縁抵抗試験、耐電圧試験、溶接品質検査など
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