硫化物系固体電解質の機械的特性とイオン伝導度の関係を評価
近年、高い安全性・高いエネルギー密度の観点より次世代電池として全固体電池の研究が活発に進められています。
その中でも、高成形性・高イオン伝導性を示す硫化物系固体電解質が注目されています。しかし、圧粉過程や圧粉後の圧力特性に関する詳細な知見は多くありません。
このアプリケーションノートでは、粉体インピーダンス測定システムを使用して固体電解質の機械的特性とイオン伝導度の関係を評価した測定事例をご紹介します。
測定対象物
- Li6PS5Cl アルジロダイト
- メーカー・粒径違い:A社 1 µm, B社 8 µm
測定条件
- 重量:200 mg
- 圧力条件*:1 MPa〜764 MPa(任意の間隔で11点)
- 待機時間:60 s
- 測定周波数:4 Hz~5 MHz
- 信号レベル:CV 0.1 V
- 電極径:φ10 mm
* 厚さ測定は圧力条件127 MPa以下は仕様外のため、参考値となります。
測定結果
ナイキストプロット比較(一部を抜粋表示)

ナイキストプロットの円弧とX軸の交点(全体抵抗R)により、メーカー違い(粒径違い)の差がわかります。B社製の材料の方が、全体抵抗が低いと考えられます。
イオン伝導度・圧密特性を同時に評価
ナイキストプロットから求めた全体抵抗Rを用いてグラフ化しました。

- B社製の材料は高いイオン伝導度を有しており、高いプレス圧の領域ではイオン伝導度が低下することがわかります。
- 今回の同種比較において、B社製の材料は、かさ密度が高いため、圧密性も高いことがわかります。
このように、材料の粒径違いや組成違いの材料の評価ができます。
まとめ
硫化物系固体電解質の機械的特性とイオン伝導度の関係を評価することができます。
硫化物系全固体電池の研究に対して大きな価値を提供する粉体インピーダンス測定システムをお試しください。