製品・技術 2024.07.05

高電圧太陽光インバーターの出荷検査に対応 データロガー用電力計測モジュールを発売

HIOKI(日置電機株式会社:長野県上田市、代表取締役社長:岡澤尊宏)は、2024年7月12日、電力計測モジュールM7103を発売します。M7103は、2023年12月に発売したデータロガーLR8101およびLR8102のオプションモジュールで、最大電圧1,500 Vまでの電源ラインでの電力計測が可能です。
M7103とデータロガーLR8102の組み合わせで12チャネルまで計測でき、さらにこの組み合わせを連結することで最大120チャネルまで拡張可能です。太陽光インバーターやESS(Energy Storage System:電力貯蔵システム)など次世代のエネルギーシステムにおける出荷検査や品質評価の効率化に貢献し、脱炭素社会の実現を加速させます。

  • 電力計測モジュールM7103×4 台、データロガーLR8101、M7103 専用電源モジュールの組み合わせ

開発の背景

脱炭素社会の実現に向け、世界的に再生可能エネルギーの普及が加速しています。代表的な再生可能エネルギーのひとつである太陽光発電システムでは、発電効率向上とコストダウンのために高電圧化が進められています。太陽光インバーターの高電圧化には、電力損失の減少や機器の小型化など多くの利点があります。従来はDC600V~DC1,000Vの製品が主流でしたが、効率化の追求により現在では1,500 V対応の製品が増えてきています。
太陽光インバーターメーカーは、全数出荷検査を行っており、電力計測だけでなく高調波ひずみ※1や変換効率など、電力品質に関わる多様なパラメータの検査を行っています。しかし高電圧化により、従来の計測器への直接入力が難しい、計測システムが大規模かつ複雑化するなどの新たな課題が生じています。またストリングインバーター※2のように多数の入力を持つ機器では電力計測のポイント数が数十チャネル以上になります。そのため全ての電力を高精度に計測するには、大規模なシステム構築が必要でした。

  • ※1高調波ひずみ:交流の電圧波形または電流波形の歪みを表す。電力品質の評価指標の一つ。
  • ※2ストリングインバーター:太陽光インバーターの一種。多系統の直流入力を個別に交流に変換し、高い発電効率を実現する。

また近年ではESSのような新しい電力インフラの開発も活発化しています。ESSは大容量の電池を直列に接続する構成が一般的です。そのため全体の電圧は高電圧になります。ESSの出荷検査には、太陽光インバーター同様に多チャネルの高電圧電力計測が必要です。
当社は長年にわたり電力計測技術のソリューションを提供しており、次世代エネルギーシステムの研究開発市場向けには、パワーアナライザーなどの高機能製品を展開しています。今回発売するM7103は、高電圧太陽光インバーターやESSなどの社会実装が始まる分野における製造工程や品質評価での利用を想定し、高電圧に対応しつつも省スペースと拡張性を重視して開発されました。当社はM7103の発売により次世代エネルギーシステムの生産効率化を支援し、脱炭素社会の実現に貢献します。

製品の特長

1. 高電圧システムに対応した最大入力電圧DC1,500 V

M7103は、太陽光発電やESSなどの高電圧システムの計測に適しています。最大でDC1,500 VとAC1,000 Vの直接入力が可能で、現在主流の1,500 V高電圧太陽光インバーターにも対応しています。

2. モジュール型設計により柔軟なチャネル数拡張が可能

M7103は最大で3チャネルの電力計測が可能な電力モジュールです。当社の高精度パワーアナライザー(最大8チャネル)と比較すると、1チャネルあたりのサイズが大幅に小型化されました。データロガー本体のLR8102、電源モジュールとの組み合わせで、最大120チャネルまでの電力を計測可能です。
モジュール単位で柔軟に拡張可能なため、さまざまな太陽光インバーターの出荷検査やESSの評価に対応できます。

3. 電力と温度の同時計測により総合的な評価を効率化

M7103と温度計測モジュールを組み合わせれば、電力と温度の同時計測が可能です。太陽光インバーターの変換効率と発熱の相関や、ESSのバッテリーパックの充放電特性と温度変化の相関など、電力と温度の両面から総合的なシステムの評価が可能となります。

主な用途

  • 高電圧太陽光インバーターの全チャネル電力評価
  • 高電圧太陽光インバーターの出荷検査および品質評価
  • ESS のBMS(Battery Management System)評価や充放電試験
  • 電気自動車およびPHV 用大容量バッテリーパックの性能評価

年間販売目標台数

国内および外国合計 400台/年

提供開始日

2024年7月12日

価格

電力計測モジュール M7103 510,000円(税込み 561,000円)

本件に関するお問い合わせ先

マーケティングコミュニケーション部

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